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好きな女性との出会いからの全て
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もう連絡も取れないと思っていたちゆきさん。
メールも電話も出来ないと思ったちゆきさん。

そんな彼女からメールが来た。

僕は不安ですぐにメールを開くことができない。
どんな感情かよくわからないままにドキドキしている。

メールを開く_

さらにどん底に堕ちるには十分な内容だった。

『なんでヒカルに話したの?
あやちゃん達とあきくんいた時、
「言わないでね」ってあたし言ったのに。

言う時は私とかあやちゃん達いる時って考えてたのに!

何時までカラオケして何時にヒカル送ったの?
少しだけ話した?
なんかわかんない あきくん』

自分が正しいと思ってやった事が正解とは限らない。
まして僕は正常な判断が下せていたとは思えない。
そんな中で行動したから当然の結果だったかもしれない。

どんどんちゆきさんが遠ざかる。

嫌だ!そんなの!

今心を繋ぎとめなければ、何もかも失うような気がした。
たった
二日前にあんなに幸せだったのが全て幻のように。

半分以上はパニックになったまま
自分を正当化して、自分にも嘘をついたまま
僕はすぐにメールを打つ。

感情のままにメールをしたっていい事なんてないのに・・・

「誰よりも、何よりもちゆきさんが大事だからヒカルに話しました。
俺がしたことは間違ってたかもしれないけど、
ちゆきさんを失いたくないからこそ、話すしかなかった。

そう思ったんだ。」


_

携帯が震えた

?!

メール?ちゆきさんからだ・・・

『なんでそのこととあたしが関係あるの?
カラオケにいかないように、新年会にいかないように
ヒカルに言わないとないから?

なんで自分じゃなくて他の人で考えるの?
カラオケとか新年会なんて別に誰といったっていいんだよ!
人がこうだから駄目とか、あー言ってるから駄目とかは関係ないの
マリに元気ってメールしたけど昨日のことは何もいわなかったし

どうでもいいけどね

ごめんね 怒ってはないから
気にしないで 実家に帰るんでしょ
気をつけてね』


ぼくはもうどうしたらいいのか・・・

『どうでもいいけどね』

この言葉が僕の中で何度もリフレインする。

なんにでもすがりつきたい。
全ては自分の蒔いた種だったけれど。
みっともなくたっていい。

僕はちゆきさんにすぐ電話をかけた。
平日の昼間。仕事中。
出てくれるわけがない。いや出れるわけがないんだ

もう一度だけメールを打つ。

「メールじゃすれ違うからあんまりしたくないんだけど。
電話はやっぱり無理みたいだからメールします。

カラオケは11時頃には終わりました。
ヒカルとは1時間くらいです話ししたの。

マリとタツヤがやっぱり新年会したいみたいで、
でも、俺は行きたくないし。

あやこさんからも昨日メール来て、
純粋なヒカルをマリに利用されたくないって言われて
(ちなみに昨日飲み会行った事はあやこさん達には言ってません)
これ以上巻き込めないと思いました。

だから、新年会を断るためにも、
ヒカルが何も知らずに、俺抜きで誘われても断れるように
話すしかなかったと思いました。

勝手な事してごめんなさい。

でも俺だって、俺の守りたいものを守るために必死だったんです。
聞きたくないかもしれないけど、それはちゆきさんなんです。

関係ないってちゆきさんは言うけど、関係あります。

他の人で考えたりしてません。
何もないのに断ったらおかしいでしょ?
そんな事ないって思うかもしれないけど、
俺は少なくとも気にしてしまうんです。」

ちゆきさんの心に届いたのかそうでないのかわからない。

ちゆきさんの仕事が終わる頃

再び携帯が震えた

今度はちゆきさんからの電話だった。




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時間はもう夜中の1時を回っていた。
全然眠れしない。
メールを打っては消し打っては確認して
焦る気持ちでメールなんて作ったって良い事なんてないのに、
それでもちゆきさんに連絡を取らない事なんて出来なくて。

このメールで最後かと思った。
もう二度と二人で会う事は叶わないと。

1時間以上かけてつくったメールを僕は送信した。

『ちゆきさん、今回はごめんね。
嫌な思いをさせてしまいました。

でも、やっぱりちゆきさんに黙って行けなかった。
黙っていればちゆきさんは嫌な思いを
しなくても済んだかもしれない。
嘘も方便かもしれない。

なら行かなければいいでしょ?
って思うよね。

けど俺に少し言い訳をさせて下さい。

先ず、俺よりも先にヒカルとタツヤに
段取りされちゃった事。

俺が行かなければ済む話じゃなくなりましたよね。
万が一、俺抜きで3人で行ったら_?
それこそ、ヒカルが心配です。
ヒカルを俺が直接守るためにも参加したんです。

それと、余計な事かもしれないけど、
マリとタツヤの関係を確かめたかった。
どんな風かこの目で見てみたかった、というのもありました。

その結果、俺はやっぱりダシにされていたと感じました。
利用されている?
あいつらが今どんな関係になっているかはわからないけど、
二人きりじゃ会えないから俺らを利用したような?

でも、まだマリは好きだと感じました。
タツヤも・・・かな・・・

俺が大事なのはちゆきさんだけです。
でもこれ以上ヒカルを巻き込まない為にも参加したんです。
正直、ちゆきさんから
メール来て落ち込んだし、
もう飲み会どころじゃくて、帰りたいというよりも
消えてなくなりたかったです。

帰り、ヒカルと少しだけ話しが出来て、全部話しました。
マリ達の事。
ヒカルも俺もちゆきさんや可愛がってくれる
あやこさん達が大事だから新年会はしない事にしました。
というより、もう二度とマリ達とは飲みません。

最初から行かなければいいでしょ?!
ってちゆきさんは感情むき出しに怒るかもしれないけど、
もし良かったらこのメールをもう一回読んで、
俺の気持ちを少しでも汲んでくれたなら嬉しいです。

それからちゆきさんが怒ってくれた事自体には感謝してるし、
感情を出してくれた事は嬉しく思っています。
ありがとうございます。
でも嫌な思いをさせてしまった事は本当に申し訳なく思っています。
ごめんなさい。

長い長いメールもすみません。
読んでくれたならありがとう。

このメールを最後にちゆきさんが許してくれるまで、
俺からは連絡をとるのをやめるつもりです。
ツライ事だけど・・・
ちゆきさんがいない毎日なんて考えられないけど・・・

もしも、許してくれる時が来たなら、
メールでもなんでもいいので下さい。

本当にごめんなさい。』


言い訳ばかりだった。
自分が行きたくて行ったのに。
ヒカルといたくていったのに。

それさえも他人(ひと)のせいにしてる。

自分にもちゆきさんにもヒカルにもウソをついてる。

ほんっっとーに!!!
最低な男だと思う。


マリはタツヤが好きだ。
きっとマリのほうがタツヤの事を好きだ。

それは僕とちゆきさんの関係に似ている。

僕もちゆきさんが好き。
ちゆきさんよりも僕のほうが彼女を好きでいる。

マリが誰を利用しようとも、タツヤと会いたい気持ち。

僕にも痛い程わかる。

ダシにされてる?!
自分もしてるじゃないか!
僕のしている事だって何も変わらない。

マリは僕なんだ。

そう思えてならなかった。


しばらく連絡を取らない、取れないつもりでいた僕の気持ちとは裏腹に
次の日の昼、ちゆきさんからメールが来た。


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僕はちゆきさんとの事はオブラートに包みながら
少しずつ、少しずつ、話を進めていった。

ちゆきさんとの約束を破る事になるから
なにかが喉に閊えたようなしゃべりだったかもしれない。

マリとタツヤが付き合っていた事。
その事についてマリがちゆきさんに相談していた事。
僕とヒカルがマリとタツヤとつるんでいて
それをあやこさん達が面白く思ってない事。
それらの事を昨日のホームパーティで話し合った事。
僕とヒカルはあやこさんやちゆきさんに可愛がられていて
マリとタツヤの付き合いに巻き込まれないか心配してくれていた事。

そして

今日、この飲み会の事をちゆきさんに言ったら・・・
すっごく怒られてしまった事。

〔え~?ちゆきさんに言っちゃったんですか?〕

「マリがちゆきさんに相談とかしてたし、
もし俺らの口からじゃなく伝わったら・・・
そっちの方が怖かったかな」

〔そ、そうですよね・・・〕

「俺はやっぱりマリ達よりあやこさん達が大事。
だから、新年会も行かないつもり。
それから、あやこさんにもまだ言ってないけど
全部話すつもりだから。」

〔そのほうがいいですかね・・・
もし言ったらあたしにも教えてくださいね。
あやこさんがなんて言うかあたしも知りたいです。〕

「なあヒカル?」

〔なんですか?〕

「ヒカルは新年会行きたかったか?」

〔ん~わからないです。行きたかったような気もしてたけど、
今あきくんの話を聞いたらなんだかわからなくなっちゃいました(笑)〕

「いや、俺も勝手に行かなければいいとは思ったんだけどさ。
だけど、それじゃやっぱりヒカルが心配なんだよ。」

〔どういう意味ですか?(笑)〕

「ん~、これはあやこさんも言ってたんだけど、
ヒカルがタツヤに狙われるんじゃないかってさ!」

〔え~ありえないですよ~〕

「そうか?俺もちょっと心配してたからさ。
だから全部話したんだ。」

〔あたしは少なくてもタツヤさんはタイプじゃないです。
なんでモテるのか不思議なくらいですよ?
ぜーーっったいに!ないですから(笑)〕

「そこまで言わなくても(笑)」

〔だってそうなんですもん!〕

「新年会は適当に用事入ったとか言って行かないからさ、俺は。」

〔じゃあ、あたしも仕事になったとか言って行きません♪〕

2人で1時間半くらいは話しただろうか。
時間は日を跨いで12時半になっていた。

「もうこんな時間か。帰らないとまずいな
ごめん遅くなっちゃって」

〔大丈夫です。話してくれてありがとうございました♪〕

ヒカルを家まで送り届ける。
そこでも少しだけ話をした。
ヒカルが車から降りない。

「じゃあ、また来年。バレーもよろしくな」

〔はい、おやすみなさい。〕

「またメールするよ」

〔約束ですよ?〕

僕は少しだけ心が軽くなっていた。

【これで新年会に行かなくて済む】
【ちゆきさんに言い訳が出来る】

頭の中はそればかりだった。

ヒカルの気持ちも
裏切る事になっているちゆきさんの気持ちも
傷ついているあやこさんも

僕は周りが全然見えていなかった。

良かれと思ってした事は全部
空回っていたんだ。

まるで暴走する列車のように・・・
僕はみんなを傷つけていた。


_家路に辿り着き

草木も眠る静かな夜に

僕はちゆきさんにメールを打った。



こんにちはポテトです。

十九部と二十部と中々話が進まなくてすみません。
でも、この出来事は僕にとってうやむやに出来ないもので
しっかりと書き留めておきたい事なんです。

この年末からのマリ達との事は
年を跨いでもまだまだ引きずります。

もう少し長くなりそうですが気長にお付き合いいただけると
嬉しく思います<(_ _)>
悩みに悩んだ末、僕は全てをヒカルに話す決心をした。

全てを話すといっても、僕とちゆきさんの事ではなく、
マリとタツヤの事だ。

ちゆきさんは僕に様々な事を相談してくれる。
その殆どは誰にも言えないものだ。
ちゆきさんは僕を信頼してくれている。

『絶対に誰にも言わないでよ?』

「大丈夫!俺がちゆきさんにそういわれて、
いや、そういわれなくても誰かにしゃべった事ある?」

『ないね(笑)』

そんなやり取りを何度かわしたことか。

マリとタツヤの事はもちろん誰にも言ってはいけない事だった。
しかもそれは、ちゆきさんだけとの約束ではなかった。
あやこさん達
4人の約束でもあった。

それを破る決意をしたんだ。

最早、正常な判断なんて下せなくなっていた。
このままだと、新年会まで行くことになってしまう。
最悪でもそれだけは避けなければならない、その思いだけだった。

ヒカルを切り捨てて、新年会なんてぶっちぎればいい。
けれど、それが僕には出来なかった。

「ヒカル、帰りちょっと話がしたいんだけど、大丈夫?
明日仕事だったよね?」

〔え?なんですか?(笑)あたしは大丈夫ですよ〕

カラオケが終わってマリとタツヤを送り届け、
ヒカルと二人きりになった。

前回のカラオケ以来
二度目の二人きり。

ヒカルは何かを期待していたのかな?
僕は自分の事で精一杯だったのかもしれない。

ただ・・・

夜更けに

車の中で二人きり

男と女

僕の心の中にはちゆきさんがいて。

こんな事してていいんだろうか?

そんな思いはあった。

あったけれど、この時の僕には
その選択しか見えていなかった。

〔話ってなんですか?〕

「んー何から話したらいいんだろう?」

本当に何から・・・そしてどこまで話したらいいんだろうか?
ちゆきさんとの事はもちろん誰にも言えない。

「実はなヒカル・・・」

僕は手探りをしながら話を始めた。



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飲み会はまったくといっていいほど盛り上がらなかった。
前回僕はマリとタツヤの事を知らなかった。
今回は知っている。
その事も相まってか二人を観察してしまっていた。

ちゆきさんとあやこさん達と話した時
どうやら二人は別れの危機にあったみたいだった。
原因はタツヤの女癖の悪さ。
自分だけを見て欲しいマリと自由でいたいタツヤ。

そんな二人が垣間見えた居酒屋だった。

ヒカルが隣に座っていたけれど
心は浮かれていない。
原因はわかっている。

ちゆきさんからメールが来ないからだった。

それでも落ち込んでばかりもいられないから、
なんとか話をして場を盛り上げては見る。空回りする。

この間のカラオケで楽しかったのは錯覚だったのか?
歌で間を持たせていたのか?
元々そんなに繋がりのない4人だった。
会話がもたない・・・

〔二次会カラオケ行きましょう♪〕

マリがそう言った。

【もう帰りたい】

それが本音だった。

居酒屋を出るか出ないか。
その時携帯が震えた。


_メールだ

ちゆきさんからメールだった。

そのメールは浮かない僕を
絶望のどん底に叩き落すものだった。

『何回言ってもダメだね・・・
どうぞ楽しんでね ”仲間と!”
まさか、あんなにあやちゃん達と話したのにね。
電話もよこさないでね

がっかりです
そのメンバーで新年会もでしょうから。

マリもバカ女だ。
あんなに私がいってもまだ懲りない。
信じられないです。疲れた。』


一気に血の気が引いていくのがわかる。
僕の心をえぐる。

どうしようどうしようどうしよう

頭が混乱する。

なんていおうなんて・・・どうしたらいい?

そんな事しか考えられなくなっていた。

一刻も早く帰りたい。
でも出来ない。
ちゆきさんにメールしたい
けど出来ない。
電話で話をしたい。
言い訳をしたい。


全部出来なかった_


そのままカラオケに行った。

どうしたらいいかわからないままに
歌を歌った。自棄(ヤケ)になって。

〔このメンバーで新年会もしましょうね♪〕

僕の気持ちなんて露知らず、
マリはお気楽にそんな事を言っている。

【冗談じゃない!】

それを言えない僕は八方美人だ。

でも

僕にとって一番大事なものはなにか?

それはわかりきっている。


歌を歌っているけどなにも覚えていない。
聞いていたけれど聴いていない。

どうしたらいい?どうしたら・・・

ヒカルはなにも知らない。

新年会も楽しみにしてるみたいだった。



僕は_


全てをヒカルに話す決心をした。


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