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好きな女性との出会いからの全て
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『俺たちの事、あきに言った方がいいんじゃないか?』


教頭がちゆきさんにいった言葉。

僕が聞きたくない言葉。


あの4人で行ったカラオケの後、
約3ヶ月後に僕はちゆきさんに気持ちを伝えた。
正確には伝わったというべきか。

その後

僕は色んな理由をつけては彼女とふたりきりになる事を望んだんだ。

バレーの練習帰り
飲み会の送り迎え
今までではありえなかったけれど、
彼女とふたりきりになるために飲み会も開いた。

それでも長くて1時間
そしてそれは誰も知らない密会だ
知られてはいけないことでもあった。

今まで以上に僕らは一緒にいた。
だがしかし、それが逆に教頭の嫉妬の心に火をつけたのかもしれない。

表面上は仲良くしている。

でも…

下手をすれば彼氏である教頭よりも
僕のほうが彼女と会える回数が多かった。
たとえ時間が短いとしてもだ。

だからこそ
教頭は僕に自分達の関係を打ち明けたかったのかもしれない。

僕はちゆきさんとヤクソクをしていた。
『俺がちゆきさんと教頭の関係を知っている事を教頭に言わないで下さい』 と。

彼女はヤクソクを守ってくれていた。
ヤクソクは約束として守られていた。

彼女を愛撫したとき
僕はもう二度としないとヤクソクしたのに
会うたびじゃないけれど
そのヤクソクは守られていなかった。

僕はウソツキだ。

彼女は正面からではないけれど
僕の気持ちを受け止めてくれている。
約束も守ってくれている。

僕はどこか逃げ場をつくりながら
彼女と密会を続けていた。


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そして

2回目のカラオケの日がやってくる
いつもの4人で。

僕は胸騒ぎがしていた。

 第五部 完
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4人でカラオケに来た。

教頭とちゆきさん。
この時、二人がつき合っているのを知らないのは僕だけだった。

りょーこさんは当然知っていたので、
二人に気を使う。
逆にそれが僕に気づかせる。

最初に食事をした。
カラオケの前に。

教頭とちゆきさんは「いつも通り」並んで座る
僕はりょーこさんと。

車の移動
僕は運転手…

りょーこさんはわざわざ助手席に乗る。
二人は後部座席で一緒。

そしてカラオケに来る。

ちゆきさんがたまたま最初にトイレに行った。

3人で部屋に入る。

教頭とりょーこさんが並んで座った。

僕は…

ちゆきさんに隣に来て欲しくて
教頭の隣に座った。

こうすれば教頭は僕とりょーこさんに挟まれているから、
ちゆきさんは僕のとなりしか席が空いていない。


そしたら、りょーこさんは教頭のとなりを空け、
僕のとなりに移動してきた。

僕は
『ああ、きっとりょーこさんは二人の付き合いを知っていて、
気を利かせてるんだな』
と思った。

ここまでされたら大抵の人は気づくと思う。
核心じゃないけれど。

僕はカラオケで色んな歌を熱唱しながら嫉妬に駆られていた。

教頭もちゆきさんも相当酔っている。
りょーこさんはそうでもなかったみたいだ。

僕は運転手よろしくお酒は飲んでいない。

そう、
この日
4人でカラオケに来ていたのに
2人はまるで別世界のようだった。

教頭はまるでちゆきさんが俺の女!といわんばかりに
肩を抱き寄せていた。
そしてちゆきさんもそれに身を委ね寄り添っていた。

この時点で僕は二人がつき合っているのを知らない。

二人は『僕』だから油断したのだろうか?
それとも別にばれても構わないというのか?

このカラオケでの二人のそれはまさに恋人達のものだった。

疑惑でしかなかった、杞憂に終わって欲しかった、
しかしそれが確信に変わった日でもあった。

帰り際
『たのしかったな!またこの4人で来よう』

そう教頭は言った。

僕の思いは複雑だったが、また来ると約束だけはした。







2回目のカラオケはまたこの4人で来る事になる。
そしてその時僕とちゆきさんは本当の出会いをしていた。

手を繋ぎ、ハグをしてキスをして。
愛撫までした後に4人でカラオケに来た。

行く前に僕は不安に駆られた。
僕は耐えられるの?
最初のカラオケの時みたく。

二人にあんな行動とられたら…

僕の思いが彼女に伝わり、
そして少しでも彼女は僕の思いを受け止めてくれている。

状況は劇的に変わっていた。

僕は複雑な思いを抱えながらも楽しみにしていた
カラオケの会に行くのが不安になっていた。
僕らはカラオケに来ていた。
あのカラオケの会の第一回目がこの日だった。

メンバーはちゆきさんの小学校最後の飲み会で
集まったメンバーから募るはずだった。
しかし、彼が手をまわしこの日集まったのは4人だった。

手を回した。
というと語弊があるかもしれない。
その日集まったメンバー4人はいずれも教頭の
お気に入りだったのかもしれない。

そう…

僕は教頭に気に入られていた。



活動的で色々な飲み会や趣味に出かける事の多いちゆきさん。
趣味はバレーだが、飲み会も多い。
教頭もまた、ちゆきさんの行動には手を焼いていたようだ。

独占欲が強い彼は彼女が出歩くのを好まない。
しかし、彼女は束縛を嫌う。

お酒のあまり飲めない僕はいつも彼女の面倒見役だ。

もちろん彼女の事を好きだったから、なんの苦もなく面倒を見ていた。




一度…
ちゆきさんが飲み会の帰りにキスされそうになった事がある。
と僕は彼女から聞いた。

誰からかというと同じPTAの会長だった。
教頭と同い年の47歳。

その飲み会に僕は参加してなかったのだが、
帰り際、会長はちゆきさんや他のみんなを送っていったそうだ。
巧妙に他のみんなを送り届け、最後はちゆきさんを…

そして暗がりに車を停められ、キスをされそうになったそうだ。

その事があってから絶対に会長の車では送られなくなったのだが、
きっと会長も彼女のことを好きだったのだろう。
飲み会の度に彼女を送り届けようとする。

僕は彼女から助けを求められ、代わりに送り迎えするようになった。

実はそれが飲み会等で一緒に行くようになったキッカケでもあった。

『あきくんにはいつも助けてもらってるんだよ』

彼女はいつも教頭に言っていたそうだ。
当然、キスされそうになった事も教頭は全て知っている。
だから、きっと教頭は会長をゆるせなかっただろう。
表面上は仲良くても、
一人の女性を巡って内面で争っていたのかもしれない。

だからこそ、
彼女を助けていたからこそ、
僕は教頭に気に入られていたのかもしれない。

僕はカラオケメンバーに選ばれた。

この当時、当然僕はちゆきさんのことを好きだったが、
彼女も、教頭もその事実を知らない。

そして、僕もまた彼女らの関係を疑ってはいたが、
つき合っているとは知る由もない。

そう…これは僕らが本当に出会う3ヶ月前の話だ。

カラオケのメンバーは
僕、ちゆきさん、教頭、りょーこさんの4人だった。

僕の思いは複雑だった。
後で知る事になるが、この4人の中で教頭とちゆきさんが
つき合っているのを知らないのは僕だけだった。

この時も、もしかして?
と、思ったけれど、
その嫌な予感は胸の奥にむりやり仕舞いこんだ。

そして、そのカラオケで僕は見たくないものをたくさん見る事になる・・・

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どうして僕の前でそんなことできるの?
りょーこさん。

ちゆきさんの同級生で40歳。
ちゆきさんとは別な魅力があり、面白くて綺麗な人。

りょーこさんも去年まで同じ小学校で同じ本部の役員をしていた。

仲良くなったのは2年前。
やっぱりきっかけはバレー大会だった。
1年前に同じ本部になり更に仲良くなった。

唯一、僕以外で教頭とちゆきさんの仲を知っている。
もちろん、僕とちゆきさんの関係は知らない(はず)

ちゆきさんとりょーこさん。
二人は仲良し。親友なのかな?


本部の紅二点が抜け、寂しく思っていた時に本部役員と先生方の最後の飲み会があった。

ちゆきさんは最後まで、寂しい寂しいと言っていた。
卒業したくない、と。



時は僕とちゆきさんが本当に出会う3ヶ月前に巻き戻る。



この日、二次会でカラオケに行った。
ちゆきさんとりょーこさん、小学校最後のカラオケ。

みんな、何かが弾けたように盛り上がった。

『いやだ、やっぱり小学校がいい。卒業したくない』

そう言って僕のカワイイ人は涙を零した。

学校なんて関係ないじゃないですか。
またこのメンバーで飲み会しましょうよ。

僕は言った。

『あたしとりょーちゃんも呼んでくれるの?卒業しても?』

当たり前でしょ

全員が口を揃えた。


この日、カラオケ好きな僕らはカラオケの会を結成した。

メンバーはこの日来た中の有志。
そのはずだった…

そう、彼が裏で手を回すまでは。


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ちゆきさんのこと、もっとしりたい。
最初に約束を破ったのは僕だった。
あの夜からまた、数回彼女とあった。

二人きりで。

やはり車の中で15分から1時間くらい。

手を繋ぐだけでいい。
ハグだけでいい。

それだけでいい?
…そんなわけない。

あの夜、
僕は彼女に触れてしまった。
彼女の柔らかさを知ってしまった。
彼女のぬくもりを知ってしまった。
彼女を感じたい。
彼女に感じて欲しい。


僕は約束を破っていた。


そして、その度にはかない約束をし、

『もう、会ってもらえないんじゃないか』

と、不安に襲われ、彼女に掬い上げられ、また約束を破る。
魅力に勝てないのなら約束をするべきではないよね。

しかし彼女もまた、僕に愛撫されてもまた会ってくれる。
メールもくれる。
何故だ?!

彼女が教頭を好きだということは確定的明らかだが、
僕もまた、彼女の心のどこかに入りこんだのかもしれなかった。

違うかもしれないけど、そう思いたかった。


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