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好きな女性との出会いからの全て
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僕とヒカルは朝までおしゃべりをして
結果的にはあやこさんのうちに泊まってしまった。

朝方4時くらいにはあやこさんも起きて
一緒におしゃべりしていたから二人きりではなかったけれど、
それでも随分と話をし続けた。

あやこさんに聞かれているとも知らずに・・・
あやこさんが僕らの話を聞いていたという事を
”僕が”知る事になるのはもう少し後の事。

朝方6時に家路にたどり着く。
ヒカルとは今夜も会う。

年末の忙しい最後の休日。
家での仕事も溜まっている。
家の用事で出かけた隙にちゆきさんにメールを打った。

マリ達との事を言わなくちゃ・・・

そう思った。
隠せば隠しきれたかもしれない。
でも、万が一ばれたら?
きっとちゆきさんは僕の口から聞かなかったなら
聞いたその時よりも怒るだろう。

聞いても怒るかもしれないけど。

マリはタツヤの事をちゆきさんに相談していた。
もしかしたら僕が言わなくても、
マリが今日の事をちゆきさんに相談するかもしれない。

そんな打算もあった。

「おはようございます。
昨日はたのしかったですね。
帰り、送っていったとき、ちゆきさんが俺と少しでも
いようとしてくれた事泣きそうなほど嬉しかったですからね!

でも調子には乗らないので安心してください。

で、

なんのメールかというとですね・・・
んーと、えーっと・・・なんていうか・・・
いや、俺もびっくりでちゆきさんは嫌な気持ちに
なるかもしれないので、先に謝っておきます。
でも、ちゆきさんに内緒というのは
なによりもしたくない事だし嘘もつきたくないので。

昨日の夜、マリからメールが来て、
今日やっぱり行けるって。
ヒカルとタツヤにもメールしたからって。
だからよろしくお願いしますって。

どういう事?もう終わったんじゃなかったのか?

ヒカルにも隙をみて聞いてみたら、
行けるようになったんですね(笑)

って・・・」

自分で自分を守るように
誰かのせいにして。
僕が自分で行くと決めたのに・・・

言い訳がましいメールなんて最低だと思った。
それでも忘年会に行く僕は一体なんだったのか・・・

ちゆきさんからメールは返ってこなかった。

そして

マリ達との忘年会が始まる。

僕にとっては嵐の前の静けさ。
地獄の扉をノックして
正に潜り抜けようとしていた。



第十九部 ヤキモチ 完


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僕はちゆきさんと別れ、再びあやこさんの家に向かった。

ふわふわとしていた。
心が満たされるような。

たった一つの不安をのぞいては。


あやこさんの家に戻ると
まだまだ盛り上がっていた。

〔おかえりなさい〕

そうヒカルから声をかけられた。

そのまま時間が過ぎていき12時。

そろそろ帰る時間かな?と思ったけれど
そんな雰囲気でもない。

帰る人、つぶれる人、寝てしまう人・・・
少しずつ意識のある人間が減っていく。

なんだか帰るタイミングを失ったまま
だらだらとそこにいてしまったのは、
まだヒカルが帰らないからだったかもしれない。

ふと携帯が光っているのに気づく。

_ちゆきさんからだ。

『今日は送り迎えありがとう
まだ盛り上がっていますか?
今年はいっぱい甘えちゃった楽しい一年でした
あきくんのセッターでこんなに盛り上がって嬉しいです
来年も楽しくバレーできるといいね
帰り道気をつけてね』

心がにやける、浮ついてくる。
ふわふわと何かに包まれてるような幸福感がそこにあった。

ヒカルとあやこさんと僕が最終的に残った。
2人はしゃべり続けている。
僕は眠い目をこすりその話を聞いている。

2人程リビングで潰れていたので、
その2人はそのまま泊まるようだった。

そうこうしてるうちに
あやこさんも旦那さんもリビングで寝てしまい
実質的にヒカルと僕は二人きりになった。
コタツに入りながら、隣同士。

心にはちゆきさんがいたけれど、
ヒカルと話すのも楽しい。
好きとかそういう感情じゃなく、
ただなんていうか・・・

いろんな事に疲れていた僕を
癒してくれていた事は確かだった。

この日まで、メールのやり取りや
練習帰りのカラオケ。
それからマリ達との忘年会の作戦会議

ヒカルとアドレス交換して二週間くらいだったけれど、
僕らは急速に接近していたのかもしれない。

二人きりになっていろんな事を話した。

仕事の事
バレーの事
メールの事
そしてマリ達との事


〔明日、行けるようになったんですね♪〕

「うん、なんだかな・・・マリのやつ」

〔でもいいじゃないですか、あたしは楽しみですよ?〕

「そうかな?まあそうだな♪
ヒカルが行くから楽しみかもしれない(笑)」

〔またまたーそんな事言って!
おだてても何もでないですよ〕

「いや、ホント!ヒカルが行くから行くようなもんだよ」


この時の僕は

ちゆきさんとの関係に疲れていたのかもしれない。
メールが欲しくてももらえない。
連絡をしても繋がらない。
キスをしているのに出来ないと言われ。
友達でしょ?と諭され。

そんな時にふと始まったヒカルとのメールのやり取り。

僕は本当にずるい男だ。

ちゆきさんへの空回りする思いを
寂しい思いを紛らわす為に・・・

自分の心の隙間を埋めるために
ヒカルと仲良くなっていたのかもしれない。

しかしまだ
この時はそんな事も気づかずに
僕は浮かれていた。
ただ楽しかった。

ヒカルと話した事、その殆ど全てが。

リビングで話をしているのは僕らだけ。

誰にも聞かれていないと思ったそれらは・・・

全部聞かれていた。

そう・・・

うっすらと浅い眠りだったあやこさんに・・・

全ては聞かれていたんだ。
いつもならちゆきさんは後部座席。
密会の場所についてから僕がそこへ向かう。
でもこの日は今年最後の二人きり。

あやこさんのうちを出る時はその通りだったけれど、
一つ角を曲がったところで車を停めた。

「ちゆきさん、前来てよ」

『え?なんで?(笑)』

「今年最後だし、今日はすぐ行かなきゃないんでしょ?
なら手繋ぎながら帰りたい。」

『もう、しょうがないな・・・』

そんな事を言ってもちゆきさんは助手席に来てくれた。

あやこさんのうちからちゆきさんのうちまでは
車で20分くらいだ。
その時間が今年最後の僕らの時間。

_全然足りなかった。

「ちょっとだけ、ちょっとだけ寄り道いい?」

『だめでしょ』

「10分だけでもいいから。」

『あきくんすぐ戻らないとあやしまれちゃうでしょ?』

「大丈夫だよ。」

雪が降ってきていた。

「雪のせいにしちゃう。」

幾度となく密会を交わしてきた場所に車を停めた。
ちゆきさんは怒ってると思ったけれど
そうでもなかったみたいだった。

『あきくん?』「ちゆきさん?」

【何?!】

同時にお互いの名前を呼び合って
同時に聞き返していた。

『あきくん先言って(笑)』
「ちゆきさんこそなに?(笑)」

「今年一年ありがとう
すっごく楽しい一年でした。
好きでいさせてくれてありがとう」

『うん・・・あたしもありがとう』

いつもならちゆきさんに確認するのに
僕は黙って彼女を抱きしめた。
ちゆきさんも抱き返してくれる。

やっぱりちゆきさんが大好き

「ちゆきさん・・・」

『なーに?』

「好き・・・」

『うん・・・』

僕らはキスをした。

「へへへ・・・なんか照れるな」

『ふふふ、そうだね』


何度しても慣れる事のないキス
深いキスではなかったけれど
今年一番気持ちが通じ合ったような気がした。

『ホントはね・・・』

「うん」

『あきくんが戻ると思ってなくって』

「ん?どういう意味?」

『あたしと一緒に帰るのかなーって』

「でも、そしたら怪しまれちゃうって言ったの
ちゆきさんじゃん(笑)」

『そうだっけ? でもね・・・
そしたら少しでもいられるかなって思ったの』

「え?なにいられるって」

『・・・あきくんとさ』

「なんで今ごろそんな事いうんだよ(笑)
それならそれでどうにでもなったし、
俺も一緒に帰るんだったよ。」

『でも、やっぱり無理か・・・(笑)』

「そ、そうだね・・・今日は難しいね
でもさ!そんな風に思ってくれて嬉しいよ。ありがと♪」

『そろそろ行かないと怪しまれちゃうね。
いつまでも戻ってこないってさ。』

「そうかな?そうかもね・・・」

僕らはもう一度ハグをしてキスをした。

『じゃあね』

「うん、またね♪」

この時・・・この時が一番幸せだったのかもしれない。

結局僕は、マリ達との飲み会の事をいえなかったんだから。

ホームパーティは10名程の参加だった。
僕とちゆきさんにヒカル、あやこさん夫婦に
あやこさんのバレーチームの仲間達。

僕も初対面の人なんかもいたけれど、
みんな気さくで和やかにそして次第に盛り上がっていった。

それぞれに悩みやストレスを抱えているようで
それはエスカレートしてゆく。

お酒が回る。

ふと、携帯をみると着信があった。

マリからだ。

明日の飲み会やっぱりいけるようになりました。
タツヤ君とヒカルにはあたしから連絡しておいたんで
あきくんもよろしくね♪
居酒屋も予約しておいたので。


え?

やっぱりいけるようになった?
しかももう2人に了解済み?!
居酒屋も?

あやこさんの家で大盛り上がりの中。
僕は一人戸惑っていた。

確かに

ヒカルともう1日会える事は嬉しいかもしれない。

しかし

マリ達との飲み会が中止になって喜んでいた
ちゆきさんやあやこさんのあの笑顔を見ていたら
とてもじゃないけど、言い出せない。
言えなかった。

僕一人が行かなければ良かったのかもしれないけれど、
おこがましいかもしれないけれど、
3人で行くのはなにかヒカルが心配だった。
そんな事はきっと大丈夫なんだろうけれど、
僕も行かなければ!そう思ってしまっていた。

結局

ちゆきさんにもあやこさんにも
誰にも言えないまま飲み会に行く事を了承してしまった。

僕は心の弱い。


ホームパーティは進み

一人、また一人とつぶれていった。

ちゆきさんもそろそろ帰る時間になったみたいで

『あきくん、そろそろあたし帰らなきゃいけないから
送ってもらっていい?』

「あ、うん・・・いいよ。じゃいこっか」

みんなに惜しまれつつちゆきさんは席を立った。

飲んでないのが僕だけだったから
いや、むしろちゆきさんを送るために飲まなかったんだし、
彼女を連れてきたんだった。

正真正銘

今年最後の二人きり

それでも連日の色々な忘年会
ちゆきさんは本当に忙しくて
本当に帰らないといけないみたいだった。

あきくんもそのままちゆきちゃんと帰っちゃうの?

誰かがそんな事を言った。

「いや俺はちゆきさん送ったらまた戻ってきますよ(笑)
戻ってこなくていいとか言わないでくださいね」


ヒカルが僕の方を見ている。

「じゃ、ちょっと送ってきます」

ヒカルが僕の目を見ている。

〔あきくん、絶対戻ってきてくださいよ?〕

「ん?あぁ、戻ってくるよ(笑)」

僕とちゆきさんはあやこさんに見送られ
あやこさんのうちを後にした。


*******************************************

こんばんはポテトです。
更新とコメ返しが遅くなってすみません。
年度末に入り益々忙しいです。

しかも十九部はまだ続きそうです。
展開が中々ないですけど
もうしばらくお付き合いください。
話は少し戻って土曜日の昼間

今日はちゆきさんとの最後の飲み会。
明日はヒカルと忘年会。

そこへマリからメールがきた。

「ごめんなさい、明日の飲み会いけなくなりました。」

たったそれだけ。

え?!

理由もなにもなしに?

僕はマリに今日のホームパーティがばれたんじゃないか?
と、勘ぐった。

勘ぐってヒカルにメールしたりもしたけど
どうやらそうでもないらしい。

マリが行かなければ3人。
流石に3人じゃ行きづらいから
結局日曜日の飲み会は中止になった。

ヒカルと話をする機会は減ってしまったけれど
それでもこの日、話も出来るからそれでもいいかな、と思った。

なによりも、あやこさんの家にずっといる事が出来る。
マリ達との飲み会を面白く思ってないあやこさんやちゆきさんにも
大手を振ってパーティに参加出来る。


土曜5時__

パーティ前に集まったのは4人
僕とちゆきさん、そしてあやこさん夫婦だ。

議題はマリとタツヤについて・・・(笑)

ここのところずっと怪しい感じだった二人に
疑問を持ったあやこさんがちゆきさんに問い詰めて
二人の関係を聞き出していた。
僕は元から知っていたけど、特別教えてあげるという設定で
話し合いに参加。知らない振りをするのに苦労したり(苦笑

中学生が恋ばなをするようにはしゃぐ二人。
それを乾いた笑いで見守る僕と旦那さん。

マリがいかに振り回されてるとか
タツヤが女ったらしだとか。
そんな話だけど随分と盛り上がって
あっという間に1時間が過ぎてしまった。

ボチボチと人が集まり始める。

当たり前かもしれないけど
マリとタツヤの話は誰にも内緒

4人の約束だよ!

そう誓いあう。

「あーそういえばあやこさん」

〔はいはい?〕

「今日の飲み会なくなりました。」

〔あ、そうなの?〕

「だから今日はトコトンいけますよ!(笑)」

〔やったねー♪泊まって行っちゃう?〕

「本当は明日行く予定だったんですが、
それもマリの都合で中止になったんです」

〔そっかそっか、でも良かったんじゃない?
マリ達のダシに使われなくてさ
ヒカルもタツヤに狙われたら大変だしね〕

「そうですね(笑)その分今日たのしみましょー!」

『あきくん、明日の飲み会も中止になったんだ♪』

「はい(笑)」

『そっか♪』

ちゆきさんはなんだかご機嫌だった。

そしてホームパーティは始まった。
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