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好きな女性との出会いからの全て
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僕の心はざわついていた。

『あたしの事全部わかってる?』

そんな質問をズバッとぶつけてくる彼女

「え?俺はかわってないのかな?」

僕はなにか、ものすごくショックだった。
きっと顔にも出ていたと思う。

「体のことは全部わからないよ。全部見たことないし・・・
でも、心も・・・ちゆきさんが言ってるのは心の事?
俺ってばちゆきさんの心、理解してない・・・のかな?」

自分でもなにを言ってるのかよくわからない。

『ごめん、そういう意味でいったんじゃないの。そんな顔しないで・・・
・・・ううん、なんでもない。今言ったこと忘れて。』

「なんで?忘れられないよ・・・
ちゆきさんの事、今までなんにもわかってなかったって?
俺が? ちゆきさんはそう思ってたってこと?」

僕は全然冷静じゃなかった。
ついさっきまでキスしてハグして愛撫まで・・・
キスさえももらっていたというのに。

『ごめんね、あきくん。
でも、このままのこんなバカなあたしでいいの?』

「馬鹿とか思ってないけど、そのままのちゆきさんでいて欲しいと思うよ?
そのままのちゆきさんを受け止めたい。自然なままの。」

『ありがとう』

それでもなにか物悲しい僕は釈然としない。

「ちゆきさん・・・ 俺はあなたにとって
必要な存在ですか?」

またバカなことを聞くな

『必要な?ん・・・存在かも・・・ね』

「その程度なんだ」

『ううん、必要な存在だよ!
心の支えみたいな感じ・・・かな』

ちゆきさんはその場を取り繕うかのように言った。
そうじゃないかもしれないけど、僕にはそう感じた。

『あきくんはあたしにとって大事な人だよ。
楽しい人、元気をくれる人。
だから・・・そんな顔しないで?』

僕は目が虚ろだったかもしれない。

不意に彼女が近づいてきた。

「なんだか切ないよちゆきさん・・・」


_まて


僕の役目はなんだ?
彼女を元気にしてあげる事じゃなかったのか?
なにを不貞腐れているんだ?
そんなんじゃダメだろ!

自問自答を繰り返す。


「ご、ごめん、ちゆきさん・・・ 俺・・・
う、ううん大丈夫!俺は大丈夫だよ!
落ち込んだりしてごめん!」

『あたしこそ変な事いってごめんね』

彼女があまりにも近いから僕はつい抱きしめてしまった。

「ごめん」

耳元で囁くと、彼女は小さく横に首を振った。

『もう帰らないと』

時間は既に1時間半も過ぎていた。

「そうだね」

運転席に移りたくない僕。

キス_ したかったけど、出来なかった。

「ちゆきさん?」

『はい』

「俺たちってどんな関係なんだろうね?」

『バレーを一緒にして頑張って優勝目指す(笑)』

「それだけの関係?」

『それだけじゃないけどさ・・・
あたしにもよくわかんない。』

「そっか・・・俺もよくわかんないや(笑)」

『でもね』

「うん」

『あきくんといると楽しいよ♪
これだけは確かなことかな。』

「あ、ありがと・・・嬉しいよ」

『大勢でいても、二人きりでいても・・・ね。
教頭以外で会ったりするのもあきくんだけだし。』

「光栄です(笑)」

運転席に移って帰る準備をする。

助手席に彼女の上着があった。

「ちゆきさんの匂いするかな?」

そういって僕はその白い上着を手に取った。

『いやだ~なにしてんの(笑)』

「匂いするかなと思ってね(笑)」

僕はそれをフワッと顔に近づけた。

アレ?

あまり匂いしないな・・・
無臭?

『あきくん・・・』

ちゆきさんはクスリと笑っている。

「あれ?」

よく見たらちゆきさんはもう上着を着ていた。

『それ・・・あきくんのじゃない?(笑)』

「あれれ(笑)俺のだ」

『ちょっと!ウケルんだけど(笑)』

なにかものすごく恥ずかしかった。
匂いなんてするわけない。
自分の服だったんだもの。

「やべ~すっげ~恥ずかしいじゃん」

そういって僕は運転席のリクライニングを全開に倒した。

『あきくんのそういうところ・・・好きだよ』

そういって彼女はまた、僕に覆いかぶさってきた。

唇が重なり合う。

夢みたいだけど、現実だった。

『さ!帰ろ♪』

「う、うん・・・」

『あきくん?』

「はい」

『誕生日ごめんね。
でもあたし、来年も忘れるかもしれないから(笑)』

「ううん、ありがと・・・
忘れたりするのがちゆきさんだって
俺、わかってるから(笑)
今日はすっごく楽しかったです。」

『あたしも久しぶりに楽しかったよ♪』

「ちゆきさん・・・」

『な~に?』

彼女は楽しそうに笑顔を浮かべている。

「俺は確かにちゆきさんの事全部理解してないかもしれない。
でもね・・・ ずっとあなたの味方ですから。
だから、愚痴とかたくさん俺に言ってくれるのも嬉しいんだけど、
もっともっと、いろんな事、俺に頼ってください。
それが俺の一番の望みです。」


それが本当に一番の望みだったかどうかはわからなかった。
本当はもっと、他の事を望みたいかもしれないけれど。

そう言うのが今の僕の精一杯だった。

『うん、頑張るね♪ ありがと、あきくん』

来年の僕の誕生日にはどうなっているんだろう?

その答えは誰にもわからない。
わからないけれど、楽しい1年になればいいな。

そう強く感じた。


練習試合と親睦会は

3日後に迫っていた。


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