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好きな女性との出会いからの全て
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ちゆきさんが戻って来た。
それだけでもう僕は嬉しくなって・・・

カラオケの時間は残り10分を切っている。

「せっかくちゆきさんが戻ってきたし
一時間延長しますかー!」

僕は張り切って言った。

『今日はもういいよ、中途半端になったから
みんなの顔見に戻ってきただけだし。
また今度こよ』

「そ、そうですか・・・」
僕は楽しい時間が終わるような気がして
少し寂しかった。

最後の10分
少しでも盛り上がろうとみんなで歌った。



ちゆきさんはメールを打っている。
教頭にでも打っているのだろうか?

僕の携帯が鳴った。
ちゆきさんから?!

なんだろ?

『少しでも早く終わった方がその分会えるでしょ』

僕は驚き、目を疑った。
ちゆきさんがそんな事を考えていてくれたなんて・・・
嬉しい。嬉しいけど、顔には出さないようにグッとこらえた。



カラオケが終わり彼女にメールする
「いつもの場所で待ってます」
『今行くね』

それだけでドキドキした。

もう会えないと、
もう、二人きりで会えないと思っていた僕は
ときめきを抑えられずにはいられなかった。



車の中

今日の彼女はとても綺麗だ。
スカートを穿いていたから?

バレーの話
さっきの愚痴の話
学校の話
旅行の話

旅行の時
メールできなかった理由とか
お土産を買うときの苦労話なんかも
この時に聞いた。

たくさん話した。
殆どは聞いていただけだけど、
僕はとても幸せだった。

帰る時間が近づいてくる。

僕はソワソワしだす。

抱きしめたかった。
けど出来ない。

キスしたかった。
でも出来ない。


「ちゆきさん・・・今日はカラオケ誘ってくれてありがと
帰りも会ってくれてありがとね

カラオケでちゆきさんにメール貰った時
マジで嬉しかったよ。
ホントありがとね」

『ううん。今日は付き合ってくれてありがと
愚痴いっぱいで大変だったでしょ?
あたしもたくさん愚痴っちゃったな♪』

「ううん。全然!
たまにはいいんじゃない?愚痴とかもいって
吐き出さないと。色々溜まるからね(笑)」

少しの沈黙があった。

『そろそろ・・・帰らないと』

「う、うん・・・そうだね」

帰したくない。

「ちゆきさん・・・ハグしていい?」

何度このセリフを彼女に投げかけたか?
それでも黙って抱きしめられない臆病者の自分がいる。
いろんな事がありすぎて、自信なんて持てるはずもない。

『ん・・・ちょっとだけだよ?』

そういって彼女は僕に身を委ねてくれた。

その度に思う。

どうして彼女は僕に抱きしめさせてくれるのか?

でもその疑問は未だに投げかけられない。

全てが終わってしまうような気がするから・・・


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第十部 戸惑い

日常が始まった。
僕の日常はちゆきさんのことを考える事だった。
それが日常・・・

いつも彼女のことを考え
メールをしたり、バレーしたり
密会は出来ないままに
でも、どうやったら会えるか?

そんな事ばかり考えていた。

ちゆきさんが旅行から帰ってきてから
また僕は彼女に会いたくて、会いたくて。
でも会えなくて。

そしてある日
彼女から一通のメールが届く
彼女から来るメールは久しぶり
心が踊る♪携帯を開く

こんばんは 突然なんだけど
今日バレーのメンバーでカラオケ行かない?
もし、いいなら連絡ちょうだいね

ちゆきさんからの誘いのメール!
こんな事は最近では記憶にない(笑)
僕の気持ちが伝わってからは初めてだったかもしれない。

一も二もない
僕は速攻でOKの返事をした。

日曜の夕方の事だった。



実は一ヵ月後に大会が控えていた。
そこでチーム内で少し揉めていたんだ。

誰がアタック打つとか誰がセッターやるとか

そんな事。

でも
結構この問題って根深くて
以前からも問題にはなってて。

それが大会前に大きくなって
一部の人が爆発してしまった。

そしてチームに派閥?みたいのができてしまった。
男性はあまり関与しない。
派閥が出来たのは女性チームだった。
正セッター派とサブセッター派
当然不満が出たのはサブの方

ちゆきさんはどちらにつくという訳じゃなかったけれど、
サブのリーダーの人に気に入られてて
(正の人にも気に入られてる)
いつでも愚痴を聞かされていたそうだ。


カラオケは愚痴大会だった。
サブ派の数名とちゆきさんと僕

3時間のカラオケで2時間はしゃべっていたと思う。

ちゆきさんも少なからず正の人に不満はあったようで、
愚痴愚痴グチグチ・・・

僕も相槌を打ちながら話を聞く一方だった。

それでも

ちゆきさんが僕を誘ってくれた事
一緒にいれる事
なんでも話してくれる事

全部嬉しかった

そしてこの日のちゆきさんは

とても綺麗だった。

普段めったに見れないスカートを穿いていた。
ドキドキした

この日

僕はどうしても密会がしたかった。

でもどうするかは彼女次第。



カラオケも終盤

『あたしちょっと用事あるから抜けるね
戻って来れたら戻って来るけど
無理だったら連絡する~』

そういってちゆきさんは行ってしまった。
家の用事があったようだ。

僕はすごくがっかりして
それでもメールを打った。

「ちゆきさん絶対戻って来て下さいね!
待ってるからね!
ちゆきさんに会いたいんだ」


メールが届いたのか
心に響いたのか

彼女はカラオケの終わる10分前に戻って来た。


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