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キスをした。
興奮は最高潮だった。
なのに心が穏やかになる。
何故かわからないけど、穏やかに。
抱きしめていた腕を放す。
顔を見つめる。
はにかむ僕。
照れる彼女。
お互いに笑いあった。
教頭と喧嘩をしてちゆきさんが彼の方を向いた。
元々は二人は付き合っているのだから当たり前かもしれないけど
もう、僕の入る隙間はないような気がしていた。
密会もハグもキスも全て・・・
幸せだった。
彼女が僕を拒まない事が。
叶わない事だと思っていから。
僕らは他愛のない話を始める。
大会の朝
ワインとチーズ
これが僕らの定番になっていた。
少しだけ飲んで会場へ向かう。
もちろん僕は運転だから飲まないけれど。
ささやかな二人の秘密
ちゆきさんはワインを飲んで
僕は手にマジックで気持ちを入れてもらう。
誰にも見られてはいけないのに
朝からハグをする。
パワーをもらう
お昼休み
予選を勝ち残った僕ら。
僕は車から隠していたワインを持ってきた。
「もう朝飲んだワイン切れたと思って持ってきた(笑)」
『え~持ってきたの?』
なんていいながら嬉しそうな彼女。
コップで軽く一杯
そしてもう少しだけ飲んだ。
午後の試合
そのほんの少し前・・・
ちゆきさんが僕に耳打ちをしてきた。
「どうしたの?」
『ワイン飲んだらさ・・・ ・・いりになっちゃった。』
よく聞こえない
「え?なに?」
『・・・ワイン飲んだら生理になっちゃった(笑)』
「うっそ、マジすか? え~ワインとか関係あるの?!」
『わかんない(笑)』
「うへ~午後の試合大丈夫?」
『うん、たぶん平気だと思うけど』
密会・・・キスの後_
「そういえばお腹大丈夫?」
『ちょっと痛いかな』
僕は本当はちゆきさんをもっと抱きしめたかった。もっと。
愛撫もしてしまいたかった。
けれど、それをしてしまえば再び・・・
彼女が僕と会うかどうか悩んでしまうような気がしていた。
だからハグまで
キスはなによりも大事なはずだったけれど
キスまでで抑えていた。
自分の感情を
体の反応を押さえ込んでいた。
それでも彼女は輝いている。
抱きしめれば柔らかく心地がいい。
目の前に
手を伸ばせばそれは届く。
僕のそんな決意はあっさりと破られる事になる。
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