第83話 幸せな後悔

この日は僕は役員会
そしてバレーの日だった。

 

役員会中にメールがくる。ちゆきさんからだ。

「今日会議だっけ？終わったら早くきてね」

 

嬉しくなる

 

会議は遅くなったが、なんとか練習終了時刻の
1時間前には体育館についた。

 

ちゆきさんとコンビを組む事になった今度の大会。

 

練習を頑張った。

 

帰り･･･

 

前もって「今日は会えないよ」と言われていた。

言われていたけど電話した。

「10分でもいいから会えない？」と。

『もう・・・ほんとちょっとだけだからね』

そういってちゆきさんは来てくれた。 

色んな話をした。

 

実はあの愛撫の夜の次の日、こんなメールをもらっていた。

---

おはよ
昨日はお世話様でした
運転 ご苦労様 楽しかったね
気兼ねしなくてよかったよ 
今日はいい天気だから眠くならないように
仕事頑張ってね。運転気をつけてね

なんか 二人で会うのいいけど いっせんはこえちゃいけないから 
昨日みたいなことは 無しにしてね
このままだと 時間の問題で Ｈしちゃいそうな勢いだから
私も昨日はなんか あきくんにいっぱい･･･恥ずかしい･･･
ごめんなさい
彼氏にもやっぱり悪い気持ちあるのが正直な気持ちです
あきくんを嫌いにはならないから 
いつものように楽しく接して いけたら いいかなって思った 
奥さんのこともやっぱり考えちゃうしね 
ハグだけにしようね キスするととまらなくなるんだ だから  ね

バレーガンバロね

---

 

キスも禁止？！そう思っていた･･･

 

「ハグしてもいい？」

ちゆきさんは答えない。

 

「キスしたい・・・」

 

『ダメ』

 

「なんで？」

 

『なんでって・・・わかってるでしょ？あきくん』

 

『キスは大切でしょ、あたしには教頭がいるんだから

やっぱり裏切る事になっちゃうし』

 

こうして会って、ハグして・・・

キスもしたり愛撫まで・・・

それは裏切ってる事にならないの？

 

そう思っても絶対に言うが出来ない僕。

 

現実と妄想

本音と建前

 

全てをぶつけたくてもぶつけることは出来ない。

 

それでもキスをした。

フレンチキスだった。

 

時間は結局2時間も経っていた。

 

そしてまた会ってくれなくなるんじゃないか？

冷たくされるんじゃないか？

 

そんな不安に襲われそうになる。

たった10分でも会えれば

そこで軽くハグしてちゆきさんを感じる事ができれば

 

それで幸せなのに

 

お互いがおしゃべりしてたとはいえ

2時間もちゆきさんといる。

 

幸せなのに後悔する。

 

帰り際

ちゆきさんは僕にそっとフレンチキスをくれた・・・

僕がキスを返そうとしたら

『あきくんからはダ～メ』

 

そう笑って彼女は僕の車から立ち去る。

確かに彼女は約束通り「会って」くれた。

けれど

あんなにも寄り添い、感じあった夜を
すごした二人はそこにはいなかった。

僕は

何回繰り返せば気が済むのだろう？

また再び

先の見えない迷路に迷い込んでしまったようだ。


第十一部　これから　完


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