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好きな女性との出会いからの全て
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第五部 約束


あの夜
から数日が経っていた。
あの夜、僕は初めてあんなに長い時間を彼女と二人きりで過ごした。

幸せだったのはいうまでもない。
だがしかし、僕がした事はこれからの二人に何をもたらすのか…
その不安の方が大きかった。

今までの関係じゃいられない。
メールも返って来ない。
ましてや、二人きりで会ってくれるはずもない。

どれもこれも身を削られる程ツライ事だ。

だがしかし、意外な事に彼女はどの選択もしなかった。

僕は勇気を振り絞り彼女にメールを打った。

あの夜の事はごめんと。
ハグだけならまだしも調子に乗りすぎたと。
もうしないから、約束するからまた会って欲しい。
関係も今まで通り楽しくい、いい関係でいて下さいと。

どんなにぶざまだろうとしがみついていたかった。
彼女を失いたくなかった。

すると、彼女はこんなメールをくれた。


昨日のことは 正直な気持ちは 教頭に悪いなって気持ちと 
なんか ドキドキ感が心地よくて エッチな気分とあきくんの気持ちがいっぱい伝わって きて
 ハグしたくなっちゃって…  だから  普通に今までどうりに していかないといけないかなって思ってました   
たまに二人になったときは 手をつないだり ちょっと ハグして それ以上はできないって思ってました
  なんかまじめにメールして変かな[?]   いつもと同じように 楽しく過ごしていこうね   
でも好きになってくれてありがとう  凄くうれしいよ  おやすみなさい

本当に?!
好きになってくれ嬉しい?

でも、これ以上は出来ない。
今まで通りに、とも書いてあった。

僕の気持ちは既に溢れ出している。
でも、今までの関係を望んでいる事も確かだ。
僕は自分が一体どうしたいのかわからなくなっていた。

ただ一ついえることは

彼女を失いたくない。
それだけだった。
手に入れてもいないのに…

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もっと彼女と本音でぶつかり合いたい。
けど出来なかった…
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『もう、帰らないと…』


僕は彼女から離れた。
手をのばせばすぐ届く距離なのに遠く感じる。
真っ白になっていた頭はまだ醒めきらない。

彼女の頭は真っ白にはなっていなかった。
越えてはいけない一線を守ったのは彼女だった。

10分か15分のつもりが2時間も経っていた。


この夜の事は今でも忘れられない。

僕は彼女と何がしたかったんだろう… セックス? いや違う。
その一線を越えたくなかったのは自分の方じゃなかったのか?

一線を越えれば、今の関係じゃいられなくなる。
きっと教頭から彼女を奪いたくなる。
彼らの関係をこわしてもだ。

きっとそうなる。
そう思ってしまうだろう。

今までの楽しい関係も、バレーの仲間との飲み会も、
家庭さえも失っても構わないと思ってしまうかもしれない。

情けなくみっともなくてずるい男だ。
自分は安全な場所に立って、彼女の心を欲しがるなんて。

彼女は全部わかっていたのかもしれない。


『ごめんね…あきくん』

どういう意味?

『ううん、俺の方こそごめん
ちゆきさんが魅力的すぎて』

訳もわからずそうつぶやいていた。

『かえろっか。』
僕が静かにそういうと

『うん…』
彼女は小さくいった。


帰り際、車で別々にグラウンドをあとにする。
僕は彼女を見送った。

『またね』

僕がそういうと、彼女は黙って2回うなずいた…
その朧げで儚い返事に僕の心は不安を覚えた。


この日、体の距離は一瞬縮まったが、心の距離は遠くなった。

そんな気がした。

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僕らはどうなってゆくのか…

  第四部  完
車の中は薄暗かった。
あるのはグラウンドの外灯だけ。
そんな中、僕は遂に彼女の肢体を見た。
40歳のそれとは思えない程キレイだった。
肌もきめ細かい。そう感じた。

この人を自分の物にしたい。
そう強く思った。
彼女はモノじゃないのに…

彼女への思いか、
そのシチュエーションか、
それとも体の美しさか、
または教頭への嫉妬心か…

色んな事がぐちゃぐちゃに絡まって僕の理性を奪ってゆく。
理性は失っても頭の片隅では彼女を自分の虜にしたいと思う。

彼女は恥ずかしさからか顔を背けている。
僕はそのまま彼女を抱き寄せ、両手で背中を愛撫した。

優しく、そして優しく、焦らすように…
同時に耳たぶにキスをしてまぶたにキスをしてまた首筋にキスした。

再び胸に手を戻す。
敏感な先端に触れると彼女は体をよじらせる。

胸にも…敏感な頂きにもキスした。僕も興奮している。
彼女も興奮してくれてたのだろうか。



僕らは本当のキスをしたことがなかった。
彼女にとって深いキスはなによりも大事だという。

僕らのキスはただのキス。
フレンチキス。



深いキスがしたかった。
舌を絡ませたかった。
そして彼女の心を奪ってしまいたかった。

彼女の首に手を回し、反対の手で彼女の髪をかきあげる。
彼女の目を見る。そして目があう。

今度は黙ってキスをした。


















そう思った。





















『だめだよ』
深いキスの手前で彼女は顔を背けた。

『ダメ…』

ぎりぎりのところで全てを引き戻された。
今まで夢の中にでもいたかのように、一瞬で現実に引き戻された。

そんな気がした。


時計は2時になろうとしていた。

『もう、帰らないと…』
彼女はそう呟いた。



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もっとこの気持ち、みんなに知ってもらいたい…
頭は真っ白になっていた。
彼女も同じだったのかな…

キスを交わし、再び首筋にキス…そして耳に指を絡ませる…

彼女は甘い吐息を出しながら僕を強く、
それでいて優しく抱きしめる。

僕は抱いていた背中から彼女の乳房に手を…
服の上からでもわかる。
やわらかい…

彼女は体をよじる。

感じてくれている。
そう思った。

彼女の甘い香りに甘い吐息、強く抱いてくる腕と柔らかい胸…
理性をなくすには充分過ぎるシチュエーションだった。

僕はそのまま彼女の首筋から服の中へと手を滑り込ませた。
乳房の頂きを軽くさわる…

その頂きはすでに固くなっていた。
僕は我慢出来なくなって反対の手でブラジャーのホックを外した。
一気に前側が緩くなる。

そして僕はTシャツをめくりあげた…
もうとまれるはずもなかった。

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僕もみんなに負けない恋を…
初めてキスをしたグラウンド。
時計は12時をまわっていた。

飲み会の帰りだったがその日は二人とも飲んでいなかった。
二人とも酔ってはいない。
僕は彼女の車の助手席に乗る。

たわいもない話をしても彼女の可愛さと時間が気になって
耳に入って来ない。





沈黙が少しだけ続いた隙間で僕はつぶやく。





『ちゆきさん、キスしてもいい?』

野暮な事はわかっている。
それでも何度キスしようが慣れる事はない。
主導権は彼女の物だ。

『ダメ…』
彼女は言った。

いつもならここで終わり。

けどこの日の僕はなにかいつもと違ったのかな。
彼女に『ダメ』と言われればなにもできなかったのにこの時…






僕は彼女を不意に抱いた。強く。
こんなに強く抱いた事はなかった。

僕は彼女の首筋にキスした。

『あっ…ん…』

かすかにこぼれる彼女の吐息。
それと同時に彼女もまた僕を強く抱き返してきた。

ここからスイッチが入ってしまったのかもしれない…

僕らはキスをした…

時計は1時をまわっていた。

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