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『もう、帰らないと…』
僕は彼女から離れた。
手をのばせばすぐ届く距離なのに遠く感じる。
真っ白になっていた頭はまだ醒めきらない。
彼女の頭は真っ白にはなっていなかった。
越えてはいけない一線を守ったのは彼女だった。
10分か15分のつもりが2時間も経っていた。
この夜の事は今でも忘れられない。
僕は彼女と何がしたかったんだろう… セックス? いや違う。
その一線を越えたくなかったのは自分の方じゃなかったのか?
一線を越えれば、今の関係じゃいられなくなる。
きっと教頭から彼女を奪いたくなる。
彼らの関係をこわしてもだ。
きっとそうなる。
そう思ってしまうだろう。
今までの楽しい関係も、バレーの仲間との飲み会も、
家庭さえも失っても構わないと思ってしまうかもしれない。
情けなくみっともなくてずるい男だ。
自分は安全な場所に立って、彼女の心を欲しがるなんて。
彼女は全部わかっていたのかもしれない。
『ごめんね…あきくん』
どういう意味?
『ううん、俺の方こそごめん
ちゆきさんが魅力的すぎて』
訳もわからずそうつぶやいていた。
『かえろっか。』
僕が静かにそういうと
『うん…』
彼女は小さくいった。
帰り際、車で別々にグラウンドをあとにする。
僕は彼女を見送った。
『またね』
僕がそういうと、彼女は黙って2回うなずいた…
その朧げで儚い返事に僕の心は不安を覚えた。
この日、体の距離は一瞬縮まったが、心の距離は遠くなった。
そんな気がした。
僕らはどうなってゆくのか…
第四部 完
僕は彼女から離れた。
手をのばせばすぐ届く距離なのに遠く感じる。
真っ白になっていた頭はまだ醒めきらない。
彼女の頭は真っ白にはなっていなかった。
越えてはいけない一線を守ったのは彼女だった。
10分か15分のつもりが2時間も経っていた。
この夜の事は今でも忘れられない。
僕は彼女と何がしたかったんだろう… セックス? いや違う。
その一線を越えたくなかったのは自分の方じゃなかったのか?
一線を越えれば、今の関係じゃいられなくなる。
きっと教頭から彼女を奪いたくなる。
彼らの関係をこわしてもだ。
きっとそうなる。
そう思ってしまうだろう。
今までの楽しい関係も、バレーの仲間との飲み会も、
家庭さえも失っても構わないと思ってしまうかもしれない。
情けなくみっともなくてずるい男だ。
自分は安全な場所に立って、彼女の心を欲しがるなんて。
彼女は全部わかっていたのかもしれない。
『ごめんね…あきくん』
どういう意味?
『ううん、俺の方こそごめん
ちゆきさんが魅力的すぎて』
訳もわからずそうつぶやいていた。
『かえろっか。』
僕が静かにそういうと
『うん…』
彼女は小さくいった。
帰り際、車で別々にグラウンドをあとにする。
僕は彼女を見送った。
『またね』
僕がそういうと、彼女は黙って2回うなずいた…
その朧げで儚い返事に僕の心は不安を覚えた。
この日、体の距離は一瞬縮まったが、心の距離は遠くなった。
そんな気がした。
僕らはどうなってゆくのか…
第四部 完
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