[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
その日の夜 僕は飲んだ。
飲みに飲んだ。
普段は殆ど飲まない酒を。
バレー大会の慰労会
20年ぶりの優勝
盛り上がらないはずがない。
こういう会って普通は前もって出欠をとり、
店に予約するものだ。
しかしこの日思いがけない優勝で当日参加が増えたのも
当たり前だったのかもしれない。
慰労会は各学校毎に行われるのが常だ。
当然ちゆきさんはいない。
去年まではこの席にいたのに・・・
一緒に優勝を味わいたかった。
それが僕の思いだった。
念願だった一中戦の勝利
嬉しかったはずの勝利
一中のあの人を見返しての優勝
しかしこの時の僕の心は晴れていなかった。
皆が優勝で盛り上がっている。
勝利の美酒に酔っている。
なぜか・・・
大会が終わった後、こんなことがあった。
それは西小OBの一中の選手の人からいわれた。
僕もよく知っている人だった。
「あき、おまえ、試合中かなり態度わるかったぞ?
リクリエーションだってわかってる?
目が真剣すぎるだろ(笑)」
『はぁ?』
なにいってんんだこいつ?と思った。
もちろんそんな事は口には出さない。
でもきっとムッとしていたかもしれない。
あの西小を馬鹿にした人からも言われた。
「あきくん、ちょっと目が怖かったかな
いつもあんなだったっけ?
試合中あたしのこと全然みなかったよね(笑)」
当たり前だろ?!
あんたに西小をバカにされて勝ちたくて
ここまで頑張ってきたんだよ!
ところが
どうやら一中の人達の大勢が
僕の態度や西小の勝ち方に疑問をもっていたようだった。
確かに僕はリクリエーションとはいえ
勝ちたくて真剣にやった。
顔も本気だったかもしれない。
けどなんだ?
真剣に勝ちたくてしたらダメなのか?
この時
僕は一中の人達が言っているのは
ただの負け惜しみだと思っていた。
と、同時に
僕は自分が一ヶ月間してきた事を振り返り
もしかして間違っていたのか?
と、思った。
そんな事が心の片隅にありながら飲んだ。
心は晴れていなかったけれど、優勝は優勝だ。
心の迷いをしまいこんで盛り上がる事にした。
二次会に行く事になった。
カラオケだ。
行くとそこには一中が来ていた。
ちゆきさんもいた。
ちゆきさんと会えた嬉しさと、
酔っていたせいもあり僕はこんな事をいってしまう。
「ちゆきさん卒業したら、西小優勝しちゃったね」
この時の僕の言葉がどれほど彼女を傷つけたかなんて
全然わかっていなかった。
ただ、ちゆきさんに
「優勝おめでとう」
といって欲しかっただけだった。
しかし、この時のちゆきさんの心は
その言葉だけでなく、もっと別なところでぐちゃくちゃになっていたんだ。
それも、全部僕のせいだった。
つづきが気になる方は→人気ブログランキングへ
お前はいったいなにをしたんだ?
ちゆきさんからメールがきた
おはよ 昨日はありがとね 今日はがんばろうね
僕の全身に力がみなぎる。
体育館にいくとみんな集まっていた。
教頭もちゆきさんもりょーこさんは応援できていた。
結局出るかどうか分からないといっていたちゆきさんは
レギュラーになっていた。スタメンだ。
ちゆきさんと朝の挨拶を交わす。
夕べの事があって少し照れる。
なんだか不倫している2人がそそくさと挨拶を交わしているように感じた。
人の目があっても気にする事はないんだけれどね。
当事者だけが感じるなにかがある。罪悪感もあったかもしれない。
第一試合は二中戦だ。
僕にとっての決戦はこの時ではなかった。
この日
優勝とかそういうのは正直どうでもよかった。
二中戦も僕にとっては前座だった。
そう。。決戦は一中戦
二中戦はセットカウント2-0で圧勝だった。
戦った自分達も驚いていた。
いつの間にか僕らは強くなっていたんだ。
そして一中戦が始まる
「今まで厳しく練習してきたけど、今日はまずはバレーを楽しもう
そして、最後までどんなボールも諦めないで繋ごう!」
僕はそうみんなに檄を飛ばした。
それでも誰よりも真剣だったのは僕だ。
きっと楽しむ余裕なんかなかったと思う。
自分に言い聞かせるように言った。
第一セット 15-8で勝利
第二セット 9-15で敗北
最終セットが始まった。
予想通り一中は強かった。
しかしこの日の僕らは何かが違った。
練習でも拾えなかったようなボールでさえも繋ぎ、
ねばりにねばっていた。
序盤
相手にリードをゆるす
6-9で負けていた。
15点マッチでこの点差は危険だった。
しかし諦めるのは早い。
なによりそんなつもりはなかった。
試合中も檄を飛ばし続ける。
9-9に追いついた。
一中の選手達はみんな疲れていた。
僕らも疲れていた。
この時
僕の足は肉離れを起こしていた。
しかし足の痛みなどどうでもいい。
むしろ感じていなかったのかもしれない。
一進一退の展開が続き12-12まで試合は進む。
足が痛む、ような気がした。
「負けたくない!絶対に勝ちたい」
そう思った。
なにが僕をそこまでさせたのか?
西小をバカにされたからか?
ちゆきさんを敵にまわしてまでも・・・
勝負所で一中のミスとこっちのアタックでマッチポイントを迎える。
14-12
後一点だ。
僕らのローテは最高の布陣のところだった。
トスが上がった
とても高いトスだった
誰かがジャンプした
強く、ボールをたたきつけた
そのボールは相手のコートにたたきつけられた
その瞬間
会場全体が沸いた
そんな気がした。
男も女もない
全員で抱き合って喜んだ
涙を流した人もいた
急に足が痛みだす
僕らは勝った
その瞬間が一番最高の瞬間だった。
一中に勝ちたい!
ただそれだけでやってきた一ヶ月だった。
僕は本当に嬉しくて、泣きそうになった。
そこを目指してきたわけではない。
ただ一中の勝ちたくてやってきただけだった。
それでも結果はついてきた。
僕ら西小は優勝した。
実に20年ぶりのことだったという
しかし
僕らの勝ち方、やり方、態度は波紋を呼んだ。
そう・・・
最高だったのは勝った瞬間までだったんだ。
この後、僕は人生の谷へ落ちる
大げさかもしれないけど。
ちゆきさんとの関係が一番大切だった僕には
それが宝物だった僕にとっては、
つらい日々が始まった。
つづきが気になる方は→人気ブログランキングへ
ちゆきさんとどうなってしまうのか?!
飲み会だった、といっても僕がちゆきさんと会うために、
密会するためだけに開いた飲み会だった。
とはいえさすがに大会前日。
そんなに遅くまではいられない。
早く帰らないと、早く帰らないと
と、二人で言い合いながら僕らは帰らない。
そして・・・
いつの間にか僕らはくちびるを重ねていた。
未だに本当のキスは出来ない。
本当の深いキスではないけれど
この日
ちゆきさんは僕のキスを受け入れてくれた。
酔っていたせいかもしれない。
そのまま彼女を抱き寄せた。
気持ちが伝わったのか? 僕の。
ちゆきさんも僕を抱きしめてくれる。
頭の中は興奮と冷静が入り混じっている。
ちゆきさんはどうだったんだろう・・・
そのまま
服を一枚ずつぬがしてゆく。
僕は彼女に触れる。
彼女は感じていてくれていた。
今までのどんな時よりも
ちゆきさんをそばに感じた。
心の距離が・・・
近く感じたんだ。
「セックスがしたいの?」
僕の頭の中で誰かがささやく。
「そうじゃないだろ?」
また別の誰かがささやく。
興奮の中
僕はちゆきさんの一番大事な部分にまで
手を伸ばした。
冷静な僕がどこからか見ている。
「いいのか?
お前はそれでいいのか?」
そういっているような気がした。
そこで僕の手は止まった。
ちゆきさんにとめられたわけではない。
自分で止めた。
ちゆきさんも冷静さを取り戻す。
普通
好きな女性と二人きり
抱き合い
唇を重ね
お互いに触れ合えば
男としては興奮しないはずがない。
熱を持たないはずがない。
しかし僕はそうならなかった。
彼女に止められたわけではない。
自分で、自分でだった。
その後
服を着た後、もう一度二人で抱き合った。
そして軽くキスした。
「明日大会がんばろうね」
「そうだね」
この日
僕らの心の距離は確実に近づいていた。
そう思った。
僕の気持ちが伝わった、と。
いや
伝わっていたのは前からだったかもしれない。
この日
彼女が僕の気持ちを受け入れてくれた。
そんな気がした。
そして
いよいよ決戦の日を迎える。
つづきが気になる方は→人気ブログランキングへ
はげみになりますのでよろしくお願いします。
本来、PTA同士の交流大会だ。
リクリエーションの延長でもある・・・
自分も去年までは真剣にやりながらも楽しんでいた。
それが一番だった。
ちゆきさんがいたということもあったのかもしれない。
しかし今年は違う。
ちゆきさんはいない
そして僕は誰よりも真剣だった。
一中に勝ちたい・・・
本当にただそれだけだった。
西小の選手のみんなにも監督にも
「打倒一中!」
を宣言し、僕はみんなを巻き込んでいった。
そしてその「勝ちたい気持ち」は僕から
周りを見る余裕を奪っていった。
他人を思いやる心を奪っていった。
PTAの練習期間の約一ヶ月間
愛好会の練習は休みになる。
そしてちゆきさんは西小にはいない。
会えない日々が続く。
密会とは関係なくただ会えない日々。
それでも
僕はバレーに打ち込んでいった。
そして
バレー大会前日を迎える
この日
僕らは密会をした
最後になるかもしれない密会だった・・・
つづきが気になる方は→人気ブログランキングへ
はげみになりますのでよろしくお願いします。
『西小は一中には勝てないよ』
とある人に言われた言葉だ。
ちゆきさんではない。
僕らの町には7つの小中学校がある。
それは前回も書いた。
5つの小学校と2つの中学校
小学校は中央が1で後は東西南北。
中学校は一中と二中だった。
僕らの小学校は町の西に位置し、西小だ。
ちゆきさんと同じ愛好会のバレーチームに
今度のバレー大会で当たる一中の人がいる。
『そういえば今度のPTAのバレー大会、
俺ら一中と当たるんですよね~』
僕は言った。
その日は愛好会で飲み会だった。
『一中強いからな~勝てないだろうな~』
僕は謙遜というわけではないけれどそう言った。
『そうだね。西小は一中には勝てないよ(笑)』
同じバレーの仲間にそう言われた。
普通
そんな事言われたとしてもサラリと流すのが
大人の対応だと思う。
だけど僕はその言葉を流す事が出来なかった。
確かに西小は人が少ない。
一中に比べればバレー経験者も少ないだろう。
けどそんな言い方ってあるか?
しかも普段一緒にバレーしている仲間に言われた事が
余計に許せなかった。
この時僕は絶対に一中に勝つと心に誓った。
そう・・・
どんな事をしても勝つと。
いや反則をするわけではないけれど。
今考えると
幼かったんだな~と思う。
サラリと流せる大人だったら良かったと。
まだ僕は幼稚だった。
飲み会の帰り
またちゆきさんと密会をした。
その日はたくさん話をした。
その日いわれたあの言葉もちゆきさんもしっかり聞いていて、
「あんな言い方はないよね。あたしも思ったよ」
と言ってくれた。
『そうだよね!ちゆきさんには悪いけど
今回は絶対に一中に勝ちにいきますから。』
「え~そんなにむきになったらいやだよ?」
『ちゆきさんの大好きな西小がバカにされたんだよ?
くやしくないの?』
「そりゃくやしいけどさ・・・
あたしも一中なんだよ?出るか分からないけどさ」
『そ、そうだけどさ・・・でもやっぱり俺は西小をバカにした
あの人を許せないよ!絶対天狗になってるし
高くなった鼻をへし折ってやりたい』
確かにその人はバレーが上手かった。
愛好会でも中心的存在で女性だったけれど、
チームのポジションまで口出しするような人だ。
監督を差し置いて、でもだ。
僕は完全に頭に血が昇っていた。
そしてそれは冷める事はなかった。
ちゆきさんと対戦する。
その本当の意味を僕はわかっていなかった。
人気ブログランキングに登録しています
はげみになりますので是非クリックお願いします
→人気ブログランキングへ