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好きな女性との出会いからの全て
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結果からいうと僕は約束を果たせる事が出来た。
準優勝だった。チーム初の快挙
優勝出来たなら、ちゆきさんとのデートが待っていたが
そこまでの力はなかったみたい。

最後は足が攣ってしまった。
そして僕は飛べなくなって。
ちゆきさんに書いてもらった『飛』も『跳』も
汗でかすんでいた。

それでもちゆきさんとの約束を果たし
11チーム中8位でも良かったのに
準優勝できて僕は心のそこからホッとしていた。

紛れもなく

ちゆきさんの力だと思った。
ちゆきさんを好きな気持ちの力。
スゴク大きなパワーをもらって
自分でも信じられないような力を出せた。

本当に良かった。



優勝チームに競り勝った僕らは
続く2試合目
圧倒的に勝った。
今でも信じられないが
町で2番目に強いチームにだ。

セットカウント2-0
点数も15-4と15-3だった。

勢いが違ったのかもしれない。
僕自身は緒戦に全てといって良いほど
力を出したはずだったのに
そのまま勢いで勝ってしまった、と思う。

その時点で本大会への出場は決まった。
なんと予選を1位通過。
上位4チームで行われる決勝トーナメントへ

準決勝でも苦しんだが
逆転勝ち
セットカウント2-1

そして臨んだその日の4試合目
初の決勝進出

僕はデートの約束を思い出していた。

「ちゆきさん?」

『なに?』

「優勝しちゃっていいの?」

『優勝しちゃって♪』

すっごく可愛く見えた。

このまま優勝したらデートか・・・
俺・・・デートしちゃっていいのかな?

何故だかそんな事を考えてしまっていた。
自信があったわけではない。
けど、まだ早いんじゃないか?
そんな思いはあった。

だから負けたわけではない。
実力不足、体力不足だったと思う。

それまで3試合
重圧とかもあったのかもしれない。
全試合フル出場して
跳んで飛んで打ちまくった。

ちゆきさんを本大会へ連れてゆく。
ただそれだけを思って。

決勝トーナメント進出
準決勝勝利
決勝進出

それらは本当におまけみたいなものだった。

約束は果たされたのだから。

いい訳じゃない。

優勝はまた次の機会で。

そう思った。

もっともっと強くなって

そして

ちゆきさんと

堂々とデートしてやる。

僕は

静かに、それでいて力強く

心に誓った。



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会場入りして準備を整えて静かにストレッチを始めた。
ゆっくりじっくり試合へむけて心も整えていく。

あのPTAの時とは違う。
ちゆきさんと同じチーム。
敵じゃない仲間として本大会を目指す。

あの時僕はただ勝ちたくて
馬鹿にされたのを見返したくて
相手をリスペクトすることなどなく
傲慢に試合をしていたと思う。

この日は違う
純粋にちゆきさんのためチームのため
そして自分のために
相手への尊敬、尊厳を忘れないように
楽しく厳しく試合をしようと思った。


____

僕らの試合時間がやってきた。
いよいよ試合が始まった。
僕のサーブから



『あきくん、今日はお疲れ様・・・
あきくんが今日一番頑張ってたからね』

「そうかな?」

『そうでしょ。凄かったよ』

「ありがと・・・」

全てが終わって夜

僕らは密会をしていた。

本当に疲れていた
心も体も。全て


密会の数時間前

僕らの緒戦
相手は優勝候補NO.1

セットカウントは1-1

実はこのチームとは春にも対戦していた。
その時はセットカウント0-2で完敗
点数も2セットで10点程度奪えただけだったと思う。

そしてその日は奇しくも
僕がちゆきさんと
本当の出会いをした日だった。

その日ちゆきさんと出会い
密会を重ね
PTAを経て
僕は少しでも成長できたのか


15点マッチ
デュースはない。

勝負の第三セット

会場の誰もが僕らの負けを予想していただろう。
僕らのチームメイトを除いて。
いや、もしかしたらチームメイトさえも勝てると
信じていなかったのかもしれない。

優勝チームは実に3年間
町の大会では負けたことがなかった。
ただ一度さえも。

勝負は一進一退を繰り返した。
僕は苦しくなったら掌を見た
そして『決』の文字を握り締めた。

スコアは14-14
次の1点を取ったほうが勝つ。



長い長いラリーが続いた。

絶対に負けない
無心でボールを拾い
ブロックに飛んで
そしてアタックを打ち続けた。

ラリーは終わらない。
その試合の一番長いラリーに。

ちゆきさんを見た

すごくすごく

今までにないほど美しい姿で
トスを上げてくれていた。
美しいトスが何度も上がる。

僕はそれを力いっぱい打つ。

相手のレシーブが乱れた。

トスが流れる


ネット際にボールが上がった。


相手のアタッカーが飛んだ

僕も跳んだ。

力いっぱいのアタックが来る。

ボールしか見えない

本当にボールがゆっくりとみえた。

飛んできたボールへ手を差し伸べた。

ボールは僕の掌にあたる

ゆっくりと

そして・・・

そのボールは相手のコートに落ちた。


ワーー!!

歓声が聞こえたような気がした。

勝った。

次の瞬間みんなにもみくちゃにされた。


僕らは勝った。



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ちゆきさんとの約束を果たせるか否か
僕が1年間やってきた事の
全てを出す日がやってきた。

今までどの大会でもそれなりに真剣にやってきたが
ここまでの思いは初めてだった。

僕らの試合は第三試合と第五試合
2試合して上位4チームが決勝トーナメントへ進む。
全11チームでの対戦。

朝5時に目を覚ました。
近くの公園まで自転車で向かった。
バスケットゴールがある。

そこでシュート練習をした。
毎日・・・じゃないけどたまに来て練習していた。
体をほぐしてそれから試合に臨んだほうが
いい結果がでることはわかっている。

300本のシュートを打った。
小一時間

うちに帰ってシャワーを浴びて。
戦闘服であるハーフパンツ、Tシャツを着る。
燃えるような紅いハーパンにした。
気持ちも燃え上がるように。

集合時間より早くちゆきさんを迎えに行った。
ワインを飲んでもらうために(笑)

いつも二人で密会をする場所まで車を走らせた。
明るいうちに来るのは初めてだ。
少し緊張する・・・

「はいちゆきさん、ワイン」

『ありがと』

「これで緊張しなくなるならお安い御用だよ♪」

キャップを開ける僕
ちゆきさんは紙コップを持参していた。
ワインを注ぐ
ワインを少しだけ口に含むちゆきさん。

『わ~美味しい♪』
紙コップにちゆきさんの口紅の跡がつく。

「そう?よかった。チーズも買ってきたよ。」

『ありがとう~食べていいの?』

「そのために買ってきたんだし。」

『ん~チーズも美味しいよ♪』
ちゆきさんはワインをコップ一杯
小さいコップ一杯だけ飲んだ。

『あきくんも少し飲む?』

「運転だから飲んだらヤバイでしょ。」

『そうか・・(笑)』

「んじゃちょっと舐めるだけね」

唇にワインをそっとつけた。
ちゆきさんと同じ紙コップで。
口紅の後が凄く気になったけど
間接キスはしなかった。
ちゆきさんと同じワインを飲む。
それだけで力が湧いてくるような気がした。

「後ね、ちゆきさんにお願いがあるんだ」

『なに?』

僕はマジックを取り出した。

「これで俺の掌に書いてほしい事あるんだ」

『なんて書くの?』

「アタックが決まるようにさ。俺の右手に『決』って書いて。
左手にはブロック決まるように『ブロック』って。」

『え~!でもそれいいかもね!』

僕も運転席から後部座席に移る。
ちゆきさんにマジックと右手を差し出す。
明るいうちから二人きりで至近距離。
誰も来ないような場所だけど
誰か来たらどうしようとかドキドキしていた。

右手と左手にそれぞれ書いてもらう。
勇気が湧いてくる。力がみなぎってくる。

「あとね、まだ書いて欲しいの」

『今度はどこ?(笑)』

「足に、太もものとこに『飛』って。
高く高く飛べるようにさ。
左足には『跳』って書いて♪」

『わかった。いっぱい高く飛んでね♪』

そういってちゆきさんは僕の足に書いてくれた。
すっごく近くていい匂いがした。

「最後に・・・俺にパワーちょうだい」

僕はちゆきさんを抱きしめた。

『もう・・・
がんばろうね。勝とうね』

ちゆきさんは仕方がないかのように
少しだけハグしてくれた。

『ほら、誰か来ちゃうから。ネ?』

「ありがとちゆきさん。俺すっげ~頑張るからね!」

『あたしもトス上げ頑張るね!』


二人で会場に向かった。
絶対に勝つぞ 心で静かに思った。


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飲み会の約束をしていた
その日は大会の前日だった。
そう・・・あのPTAの大会の時も
前日に飲み会をして
密会をしていた。

その日は久しぶりに
実に数ヶ月ぶりに
りょーこさんもやってきた。

ちょっといつもと違うメンバーで
でもちゆきさんと僕はいつも一緒で
りょーこさんまで来てくれて。

久しぶりに帰りの密会を気にせず
はしゃいで楽しんでしまった。
そのくらい良い飲み会だった。

そのせいもあって最近いつもなら
22時とか早めに帰っていたんだけど
遅くなってしまった。
正に時間も忘れてというやつだ。

そして帰り

ちゆきさんにいつもの如く聞く

「今日も寄り道いい?」

『今何時なの?』

「23時かな・・・」

『じゃあ15分だけね』

「わかった」

明日は大事な大会だ。
遅くなってもちゆきさんが大変
僕も大変だ。

「ちゆきさん・・・」

『なに?』

「明日、頑張ろうね」

『うん・・・』




「あ!」

『どうしたの?』

「そういえばちゆきさんからハグしてくれる
約束だったんだ!」

『え~そんな約束してないよ(笑)』

「ふ~ん、約束破るんだね?ちゆきさんは」

そうからかうとちゆきさんは仕方の無い感じで・・・
『もう・・・これでいい?』

そう言って僕を抱きしめてくれた。
僕はあまりの幸せに胸がいっぱいになってしまって

「うん・・・すっごい幸せ・・・泣きそうかも」

僕はそのままちゆきさんを抱きしめ返した。
首筋にキスをして胸まで愛撫。

何度繰り返しただろう?

僕はそのまま興奮して
15分だといわれたのに
1時間もちゆきさんを帰すことなく
抱きしめ続けてしまった。

そして再びちゆきさんの大事な部分に触れる
しかし服の上からだったから良くわからない。

なんだかすごくちゆきさんが欲しくなってしまって
僕はわがままをいう

「ねぇちゆきさん?俺・・・ちゆきさんの事
イかせたい・・・」

『何言ってんの・・・ダメだよ』

「ね?お願い・・・わがまますぎる?」

そういいながらも愛撫している。

『え・・・ダメだってば・・・ちょっとタイム』

そういってちゆきさんは僕から離れる

『明日さ』

「うん」

『あの優勝チーム勝てたらいいよ』

「まじで?ちゆきさん・・・
もしかして勝てないと思ってるでしょ?」

『うん?うーん・・・どうかな(笑)
そんなことないよ?』

「っじゃあもし勝ったら!
ちゆきさんの事!イかせていいんだね?
約束したからね♪」

バカな約束に得意げな僕(笑)
まだ勝てると決まったわけでもないのに
しかも勝てない確率の方が多いはずだった。

けどこの時の僕にそんな気持ちは微塵もなかったんだ。

『ん~・・・でもやっぱり約束はできないかも(笑)』

「だめだよ~もう約束したからね♪」

大会前日になんて会話をしているんだろう・・・

優勝したらデート。
そして明日の緒戦
対戦相手はその、優勝チームだ。

戦いの火蓋が切って落とされる。
僕の負けられない戦いが始まる。
ちゆきさんを本大会に連れて行くため。
ただそれだけのため。

ちゆきさんをイかせたい・・・
この気持ちは僕の正直なものだ。
けれど、それらの事は全部
ちゆきさんと交わした約束の・・・

一番大事な約束のおまけに過ぎなかった。



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ちゆきさんは緊張しいだ。
なんでもないような顔をして
実は緊張している。僕は知っていた。

4人で結束を高めあった夜
こんな話をしていた。

「ちゆきさん当日お酒飲んだ方がいいんじゃない(笑)?」
僕がいうと

「お~それいいかもね~」
ともう一人が言う。

『そうだね~そうかもね(笑)』
ちゆきさんも笑いながらそう答えた。

「んじゃ俺当日ワイン持って行ってあげるよ♪
どうせ迎えにいくしね」

『え~!でもいいかも(笑)
赤の甘口がいいかも♪』

「指定ありですか(笑)
わかりました。用意しておきます。」

次の日早速僕はワインを買いに走った。
正直にいうとお酒の事はからっきしだ。

ちゆきさんが美味しいといっていたワインのシリーズがある。

赤のワイン、赤のワイン。っと・・・
 
中口?
 
甘口なんて他のをみてもない。
白は甘口おおいみたいだけど。
  
ちゆきさんにメールを打つ

「ちゆきさん?美味しいっていってたシリーズは
あったけど赤ので甘口ってないよ?白でいい?」
 
するとめずらしくてびっくりしてうれしかったけれど
ちゆきさんから電話がかかってきた。すぐにだ。
 
「ちゆきさん?おはよ どうしたの?」
 
『どもね、なに?酒屋さんに来てたの(笑)?』

「うん、でも赤に甘口ってないよ?」
 
『そうなんだよね~白のが甘口多いんだよね
というかあきくん行動はやいね(笑)』

「うん♪ちゆきさんのためだからね(笑)」

「この間言ってたワインならあるよ?
白だけど「やや甘口」ってなってる
これでいいかな?」

『え?それいつ飲むんだっけ?』
 
「大会当日の朝でしょ?(笑)
ちょっぴり飲んで後は二次会とかで飲めばいいじゃん」
 
『(笑)朝からのんじゃう?
でもその方が緊張しなくていいかも(笑)』
 
「ちゆきさんでも緊張するんだ?(笑)」
 
『するよ~~するでしょ』
 
「そっか・・・んじゃこの白と後チーズでもつまみに買っていくね」
 
『うん・・・ありがとね』
 
そこから少しだけたわいもないおしゃべりをして電話を切った。
 
15分ほどの出来事だった。
 
たったそれだけの事だったけれど
嬉しくて顔が綻んで1日中幸せだった。

ちゆきさんが

僕を頼ってくれているような

そんな気持ちにもなっていた。


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