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僕はワインを贈る事を思いついた。
ちゆきさんはワインが大好き。
それと一緒にチーズも贈ろう。
そう考えた。
そう考えたけど、僕はワインの知識はさっぱりだ。
ただ一つ、ちゆきさんが甘口のワインが好き。
その事だけは知っていた。
僕はまず、ネットで色んな事を調べた。
ビンテージワイン
赤、白、ロゼ
甘口、辛口、中口
どこかの金賞だの、フルボディだの。
調べれば調べるほど
わからなくなる(笑)
それでもなんだかワクワクする。
色んな事を調べていると
どうやら極甘ワインというのがあるという事がわかった。
とっても甘くて飲みやすい。
僕は素人だから良くわからないけど、
これがいいんじゃないかな?と思った。
せっかくのクリスマスだ。
さり気なくそれでいて格好よく決めたい(笑)
赤と白のセットなんてあったらもっといいな。
甘口で赤白セット・・・
ネットで調べて、地元の酒屋を何軒も回って、
店員さんに聞いたり、時には試飲をしてみたり。
1週間くらい経ったころだろうか。
やっと、これだ!
というワインを見つけた。
赤白セットで白は極甘、赤は甘口
値段も安すぎず、高すぎず
クリスマスプレゼントにはピッタリだな、と。
ワインなんて贈った事がない僕は
どんな風に贈るのがいいか知らない。
酒屋の店員さんに聞いてみる。
ワインケースや、ワインバッグに入れたり
色々ですよ、と教えてくれた。
2本一緒だと箱にいれたり、
一本ずつ包装してバッグに入れたり。
とりあえず、包装だけしてもらって
バッグを自分で買う事にした。
ワインは決まった。
もう、渡す時のことを考えてワクワクドキドキしていた。
まだ12月の最初だというのに。
後はチーズを買って
カードと、手紙も添えることにした。
形が残るものはまずいかな?
そんな風に思いながら、
僕は自分の行動を止めることが出来なかった。
話は11月にさかのぼる。
ちゆきさんとなんだか特別な関係になって
7ヶ月が経っていた。
初めてのクリスマスはもう1ヶ月ほど。
何年ぶりだろうか?
こんな気持ちになったのは。
誰かのためにクリスマスが待ち遠しいなんて。
どうしたらちゆきさんが喜ぶか?
どうしたらちゆきさんを困らせないか?
そのせめぎ合いだった。
何かを贈ることは心に決めていたが
一体なにを贈ればいいのか。
手紙を添えるか、カードは?
形に残るものがいい?
それとも・・・
悩みはしたが、それはとても嬉しく、楽しいものだった。
好きな人のために
ん・・・でも結局は自分のためなのかな・・・
自己満足になってしまうかもしれないけど、
好きな女性を想い、プレゼントを考える事は
クリスマスを考える事は、とても幸せな事だった。
だが、僕は彼女の「なにか」ではない。
クリスマスに会えるはずもない。
12月のどこかで飲み会があるはず。
その帰りにでも渡せたら・・・
そう考えていた。
僕にとって久しぶりのクリスマス。
何をどうするか。
一つ一つ少しずつ思い浮かんでいった。
思い浮かべては一人顔が綻ぶ。
色んな想いが巡り
色んな思いを馳せ
僕は一つの答えに辿りついた。
身だしなみを整えシートベルトをする。
今日ちゆきさんは助手席にいる。
僕らは再び話し始める。
「今日は楽しかったね~バレー♪」
『うん♪』
「やっぱりちゆきさんのセッターは最高だね♪
ちゆきさんのトスじゃないと俺打てないし。」
『そう?でもそういわれると嬉しいよ♪
あたしもあきくんだけに上げたいし。』
ちゆきさんのセッターの実力は
うちのチームで郡を抜いていたから
誰もが彼女に上げて欲しかった。
でも今はバレーでは僕のちゆきさん。
僕のセッターなんだ。
「そんなの言われたら俺も嬉しいじゃん(笑)」
『だってあきくんがあたしのトス一番決めてくれるでしょ。
○○さんだって△△くんだって決まらないし・・・
あきくんが一番安心して上げられるの。
あきくんが一番上げてて楽しいの♪』
「どうしたんだ?ちゆきさん(笑)
熱でもあるんじゃない?誉めすぎでしょ(笑)」
『だって本当のことだもん』
「まぁ嬉しいからいいけど
でもなんか調子狂うな(笑)」
僕は本当にちゆきさんのトスでしか
上手く、強くアタックを打つ事が出来なかった。
ちゆきさん限定の強さだった。
それが悩みでもあったけれど、嬉しくもあった。
「俺さ、ちゆきさんのトスで打てるけどさ
他の人じゃ、あんなに打てないんだよ。
本当は打てるようにならなきゃないのにさ。
だってそれじゃなきゃ優勝できないでしょ?
だから、もっと練習して他の人でも
バシバシ打てるようになるからさ♪」
『えー!他の人でバシバシ打てるようになったら嫌だ(笑)』
「なんでだよ!(笑)」
『そしたらあたしがセッターじゃなくてもいいわけじゃん?
あたしだから決めてくれるっていうのが嬉しいんだよ』
「い、いや・・・そりゃそうかもしれないけどさ。」
『それに他の人でバンバン決めたらヤキモチ妬くよ』
「え?ちゆきさん俺にヤキモチなんて妬くの?」
僕はまじめな顔をして聞いた。
だが心は浮かれている
『ん?ちょっとまって(笑)やっぱり妬かない(笑)』
「そっか~ヤキモチ妬いてくれるんだ」
今度は顔がニヤケテイル。
『あたし結構ヤキモチ妬きだから。』
そういう部分があるのはわかっていたつもりだ。
だけど、それが僕に向けられるとは思ってもいなかった。
「バレーだけじゃなくても妬いたりする?
俺が他の女性と仲良くしてたり
メールしてたり、アド交換してたりしたらさ?」
『・・・妬くかもね。』
「え?なに?今なんていったの?」
彼女の声は聞こえているのに、僕は意地悪だ。
『妬いちゃダメだと思うけど妬くときある!
って言ったの!』
なんだか少し怒り気味の彼女。
そんな彼女も愛おしい。
「うっは なんで怒ってんの?(笑)」
『しつこく聞くからでしょ!』
「ちゆきさん可愛いな~」
僕は彼女の頭を撫でた。
『でもさ、なんであたしがあきくんに妬いてるんだろ?
とか思って、違う違う・・・とか考えたり?
でもたまにだよ?たまにだけど妬くときある(笑)』
「いや、そんな事思ったこともなかったから嬉しいな♪
・・・でもさ、ちゆきさん?」
『なに?!』
強く言い返して照れを隠すところがまた可愛い(笑)
「俺はちゆきさんしか見てないよ?
誰とメールしてたって
誰と言葉を交わしてたって
考えてるのはちゆきさんのことだけだよ?
楽しいのは全部あなただけです!」
『本当に?』
「なんで?こんなに?してるんだから信じろって(笑)
それとも俺のこと信じられない?」
『・・・信じてもいいかな・・・』
「え?信じてもいいかな?」
『信じる』
「ならよし(笑)」
本当に心が通じ合っているような気がした。
体を繋ぐ事は出来ない。
繋がっちゃいけないような気もする。
だけど
確実に
心と心の大事な部分が
触れ合っていると。
錯覚じゃない!
そうハッキリと感じる事が出来る。
そんな気がしていた。
今年も後わずか
もうすぐ、クリスマスがやってくる。
第十七部 少しずつ 完
彼女は悪戯顔で笑っていた。
引き続き折りたたみます。
苦手な方はスルーでお願いします<(_ _)>