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好きな女性との出会いからの全て
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「実は渡したいものがあるんだ
だから、食事会の帰り10分でもいいから会えない?」

彼女からの返信はなかった。

そのまま食事会が始まった。

食事会はそれなりに楽しいもので・・・
いつでもそう
楽しい時間は早く過ぎる。

それでも23時には家に帰りたい、と言っていた。
ここでゆっくりしてたらとてもじゃないけど会えるはずもない。

しかし時間は刻々と過ぎてゆく。
21時には解散する予定だったが、
やはり話は盛り上がるもので
結局全部終わったのは22時だった。

そこから帰る時間が30分はかかる。

解散して他の2人が帰った後、
駐車場で僕は

「今日どうしてもダメですか?
ちゆきさんにプレゼントあるんだ。
それを渡すだけでもいいんだけどさ」

『うーん、ちょびっとだけだよ?』

もう二度と二人きりで会えないかもしれない
そう思っていた僕は少しだけホッとした。
だけどそれはほんのつかの間の事だったんだ。



「はい、ちゆきさんコレ」

『え~なにこれ?開けていい?』

ちゆきさんは袋を開け中からCDを取り出す。

「これね、ちゆきさんにプレゼントなんだけどさ
プレゼントとかいってお願いなんだけど、
今度の大会の慰労会でさ、この歌歌ってくれない?
ちゆきさんがさ。」

大会までは一ヶ月ある

「これすっごくいい曲なんだよ。
ホラ昔流行ったアノ曲あるでしょ?
それのリメイクなんだ。
絶対ちゆきさん歌ったらイイと思う」

『え~歌うの?歌えるかな?』

「絶対歌えると思う。声もきっと合ってると思うし。」

『・・・わかった、歌えるかわからないけど
頑張ってみるね。ありがと、あきくん』

僕はなんだか嬉しくなって勝手に唇がほころんだ。
抱きしめたかったけど、なんだか今日は出来なかった。

「明日早いっていってたけど、どっか行くの?」

『うん?う・・・うん 仕事でね・・・ちょっと朝6時頃いかなきゃなくて・・・』

彼女はどこかぎこちない。

「仕事?随分早いな~ 大変そうだね、頑張ってね」

そういう僕に彼女は視線を合わせないようとしない。
おかしいな?と思った。

「ちゆきさんどうしたの? なんかおかしいな(笑)
本当に仕事なの?もしかして・・・デート?」

彼女は黙っている。

今思えば

密会なんかしなければ良かった。
CDは別にしても
色々聞かなきゃ良かった。

いや

聞く運命だったのかな?

「そうっか、明日デートかぁ~って朝6時ってはやいね(笑)」
完全に強がりで笑っている。

『うん・・・実はね・・・』

ん?

『明日は旅行に行くの』

えっ?!
旅行って?

僕の時間はそこで止まったかのようだった。



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