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第九部 旅行
その日は前から決まっていた飲み会だった。
僕がうそをついた日よりも前に。
あの日僕はちゆきさんを傷つけるつもりもなかったけれど
結果的には傷つけてしまった。
そしてそれは全て自分にも返ってきた。
『もう会えない』
と、言われたわけじゃなかった。
けれど、きっとそれと同じ意味なんだろう。
そうなんだろう・・・と感じていた。
みんなでもんじゃ焼きを食べた。
楽しく焼いて、楽しく食べて、楽しく飲んで。
僕の心はどこへ行ってしまったのか。
笑ってはいても心はそこにはなかった。
12時には帰らないといけない彼女
飲み会が長引けば長引くほど
二人きりになれる時間は短くなる。
「早く帰りたい」
僕はそれだけを思っていた。
でも今日
彼女は二人きりで会ってくれるのか?
そんな不安も胸をよぎる
全てが終わりみんなを送り届け、
ちゆきさんと二人きりになったのは23時だった。
今日の彼女は酔っている
そして、彼女の家が近づいた頃
彼女は眠ってしまっていた。
「ちゆきさん?寝ちゃったの?
このままいつもの場所行っていい?
ちゆきさん?ね?」
彼女の返事はない。
僕はそのまま車を走らせてしまった。
車を停める
彼女を見つめる
彼女は寝ている
寝息をたてている
キスしたくなった
手を伸ばせばすぐ届くところに彼女がいる
幾度となく、今まで幾度となく
この距離で彼女と接してきた。
彼女が寝返りをうつ
吐息がもれる
抱きしめたくなった
手を伸ばせばすぐ届くのに
すぐそこにちゆきさんがいるのに
なにも出来ないでいた。
そのまま1時間
僕はただちゆきさんの寝顔を見ていた。
ただとなりで座って
0時
帰らなきゃいけない時間
僕はちゆきさんを起こした
起こしたくなかった
そのままずっと彼女の寝顔を
ただずっと・・・
時間なんてなくなればいい
そう思った。
『ん・・・あきくん?
あたし寝てた?んん・・頭痛い』
「ちゆきさん・・・
もう12時だよ。もう帰らないと」
『うん・・そうだね』
キスしたい、抱きしめたい
そんな思いを胸に秘め
僕はただ黙っていた
『あきくんごめんね・・・』
ごめん
僕が一番聞きたくない言葉だ
「ちゆきさん!」
そういって
僕は彼女を抱きしめてしまった。
僕の目から涙がこぼれていた。
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