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カラオケに行く前。
誰が飲む?という話になった。
どうやらタツヤは最初から飲むつもりだったらしく
マリと来ていた。
ヒカルはどうする?
マリが聞いた。
〔飲まなくてもいいですよ〕
そういう彼女に【せっかくだから飲んだら?】
僕は言った。
結局
僕とヒカル、マリとタツヤ
その組合せの2台でカラオケへ。
繋がらないちゆきさんとの電話。
そのイライラを助手席のヒカルが癒してくれた。
ドキドキはなかったけれど、
なにか癒されたんだ。
年の瀬が迫っていた。
僕のところには忘年会の誘いや
久しぶりに会う事の出来そうな同級生から
なぜかその日に限って
その夜に限って何通もメールがきた。
1年ぶりに連絡を寄こした友達なんかもいた。
そのどのメールが届いた時も
ちゆきさんからかも!
そう思って、携帯を開いて絶望する。
そんな状況じゃなければ嬉しいはずのメールも
携帯の光も震えもメロディーも
ちゆきさんからでなければ空しかった。
きっとその日
カラオケに行かなければ
ちゆきさんと電話できたかもしれない。
いや、帰りに直接思いを伝える事が出来ただろう。
だけど電話が繋がらなかった寂しさを
一人では決していたくなかったその夜を
カラオケという
なにかを誤魔化すにはうってつけのツールを、
手に入れていたという事は
僕には唯一の救いだったのかもしれない
それでも彼女からメールが来るかも・・・
『あたしも今年一年ありがとう』
そんなメールが・・・
しかしその夜彼女からメールが来る事はなかった。
少し落ち込む僕にマリがつっかける。
あきくん元気ないんじゃない?
そんな事はないとおどけて見せて
むりやり何かを歌う。
そんな歌をヒカルはただ黙って聴いていた。
「ヒカル歌わないの?」
〔あたしはカラオケ苦手ですから。
聞いてるだけでいいんです♪〕
「そっか・・・ごめんなつき合わせちゃって」
〔いいんですよ。
来るって決めたのはあたしだから。
楽しいですよ〕
「ならいいけど♪」
ヒカルがいてくれてよかった。
この時そう思った。
マリとタツヤも盛り上がって楽しそうだったけれど
ただ静かにそこに佇むヒカルが僕の隣にいた。
一人ではいたくない夜に
ヒカルがいてくれて救われたような気持ちになった。
僕は
ヒカルの事を・・・
もっと知りたいな
そう思ってしまっていた。
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誰が飲む?という話になった。
どうやらタツヤは最初から飲むつもりだったらしく
マリと来ていた。
ヒカルはどうする?
マリが聞いた。
〔飲まなくてもいいですよ〕
そういう彼女に【せっかくだから飲んだら?】
僕は言った。
結局
僕とヒカル、マリとタツヤ
その組合せの2台でカラオケへ。
繋がらないちゆきさんとの電話。
そのイライラを助手席のヒカルが癒してくれた。
ドキドキはなかったけれど、
なにか癒されたんだ。
年の瀬が迫っていた。
僕のところには忘年会の誘いや
久しぶりに会う事の出来そうな同級生から
なぜかその日に限って
その夜に限って何通もメールがきた。
1年ぶりに連絡を寄こした友達なんかもいた。
そのどのメールが届いた時も
ちゆきさんからかも!
そう思って、携帯を開いて絶望する。
そんな状況じゃなければ嬉しいはずのメールも
携帯の光も震えもメロディーも
ちゆきさんからでなければ空しかった。
きっとその日
カラオケに行かなければ
ちゆきさんと電話できたかもしれない。
いや、帰りに直接思いを伝える事が出来ただろう。
だけど電話が繋がらなかった寂しさを
一人では決していたくなかったその夜を
カラオケという
なにかを誤魔化すにはうってつけのツールを、
手に入れていたという事は
僕には唯一の救いだったのかもしれない
それでも彼女からメールが来るかも・・・
『あたしも今年一年ありがとう』
そんなメールが・・・
しかしその夜彼女からメールが来る事はなかった。
少し落ち込む僕にマリがつっかける。
あきくん元気ないんじゃない?
そんな事はないとおどけて見せて
むりやり何かを歌う。
そんな歌をヒカルはただ黙って聴いていた。
「ヒカル歌わないの?」
〔あたしはカラオケ苦手ですから。
聞いてるだけでいいんです♪〕
「そっか・・・ごめんなつき合わせちゃって」
〔いいんですよ。
来るって決めたのはあたしだから。
楽しいですよ〕
「ならいいけど♪」
ヒカルがいてくれてよかった。
この時そう思った。
マリとタツヤも盛り上がって楽しそうだったけれど
ただ静かにそこに佇むヒカルが僕の隣にいた。
一人ではいたくない夜に
ヒカルがいてくれて救われたような気持ちになった。
僕は
ヒカルの事を・・・
もっと知りたいな
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電話に出ないちゆきさん。
出てくれないちゆきさん。
どうして??
その思いが僕の心を支配してゆく。
その後も何度もかけるが
繋がるのは留守番電話の音声ばかりだった。
そのうちにコール音もならなくなって、
繰り返される留守電への転送案内。
なんでだ?僕ががなにをした?
僕はただ感謝の気持ちを伝えたかっただけなのに・・・
コール音もならなく留守電になる時は
いくつかパターンあると思っている。
留守録設定にしているか
電源を切っているか
誰かと電話しているか。
ちゆきさんが携帯の電源を切るはずがないから、
留守録設定か誰かと電話しているか、だと思った。
もしかして・・・
教頭と電話してる?
娘を迎えに行くと言っていたちゆきさん。
多分それは本当だろう。
ただ、娘を家に一旦送り届け『バレーで打ち上げがある』
と言って家を出て、教頭と会う事は可能だ。
「ありがとう」さえ言わせてもらえなくて
【そんな事】を考えるのはとても辛かった。
それだって、電話に出てくれたっていいじゃないか。
たった1分。駐車場で待っててくれたっていいじゃないか。
【なにか怒らせるような事したかな?】
僕がちゆきさん抜きでマリ達と打ち上げに行くから?
まさか!
だってちゆきさんの事だって誘ったんだよ?
ちゆきさんは行けないと答えた。
僕は娘の迎えがあるからだと思っていた。
楽しい事が大好きな彼女。
例え娘の迎えがあったとしても
なんとかして来る事があっても不思議ではない。
それが無理だった理由・・・
教頭と会うため
それが僕の出した答えだった。
教頭と会うためにこちらに来なかったのに
なんで怒ってる?いや、怒ってるかどうかは
わからないし、教頭と会ってるかどうかもわからない。
けれど
待っていてもくれない、電話にも出てくれない。
怒っているとしか思えない。
僕は諦めてメールを打った。
「バレー一年間本当にありがとうございました。
ちゆきさんのおかげで変われた一年でした。
最後の練習、最後のトスも気持ち良く打てました。ありがとう。
本当は直接伝えたかったけど、叶わなかったので
メールでごめんね。」
僕は全然納得いってなかったけれど、
【俺がなにをしたっていうんだ?!】
そう思っていたけど、そんなメールを送った。
重たい気分のまま
僕はカラオケに向かった。
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どうして??
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僕はただ感謝の気持ちを伝えたかっただけなのに・・・
コール音もならなく留守電になる時は
いくつかパターンあると思っている。
留守録設定にしているか
電源を切っているか
誰かと電話しているか。
ちゆきさんが携帯の電源を切るはずがないから、
留守録設定か誰かと電話しているか、だと思った。
もしかして・・・
教頭と電話してる?
娘を迎えに行くと言っていたちゆきさん。
多分それは本当だろう。
ただ、娘を家に一旦送り届け『バレーで打ち上げがある』
と言って家を出て、教頭と会う事は可能だ。
「ありがとう」さえ言わせてもらえなくて
【そんな事】を考えるのはとても辛かった。
それだって、電話に出てくれたっていいじゃないか。
たった1分。駐車場で待っててくれたっていいじゃないか。
【なにか怒らせるような事したかな?】
僕がちゆきさん抜きでマリ達と打ち上げに行くから?
まさか!
だってちゆきさんの事だって誘ったんだよ?
ちゆきさんは行けないと答えた。
僕は娘の迎えがあるからだと思っていた。
楽しい事が大好きな彼女。
例え娘の迎えがあったとしても
なんとかして来る事があっても不思議ではない。
それが無理だった理由・・・
教頭と会うため
それが僕の出した答えだった。
教頭と会うためにこちらに来なかったのに
なんで怒ってる?いや、怒ってるかどうかは
わからないし、教頭と会ってるかどうかもわからない。
けれど
待っていてもくれない、電話にも出てくれない。
怒っているとしか思えない。
僕は諦めてメールを打った。
「バレー一年間本当にありがとうございました。
ちゆきさんのおかげで変われた一年でした。
最後の練習、最後のトスも気持ち良く打てました。ありがとう。
本当は直接伝えたかったけど、叶わなかったので
メールでごめんね。」
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マリと何度もメールのやり取りをする。
今日行くのか?
どこへ行くのか?
誰と行くのか?
本当に行くのか?
そんな短い内容を何度も何度も。
僕の担当は自分のチームだ。
もちろん当然のようにちゆきさんを先ず誘った。
ちゆきさんは『行かない・・・今日は行けない』
そう答えた。
『マリからも私にメールきたけど
あきくん行くんでしょ?
あきくんから誘ったの?』
「いや、マリが行きたいっていうから
行ってもいいかな~って思ったけど。」
『ふ~ん・・・そうなんだ
あたしは行けないけど楽しんできてね』
「ちゆきさん行かないならつまらないんだけどね
約束しちゃったから行ってくるよ。」
その日の最後の練習
Aチームから4人の参加があった。
マリと後3人
その中にヒカルもいた。
僕は自分のチームから今日の打ち上げ?
みたいなものに誘ってみたが
参加者は0だった。
当日の当日だったし年末でみんな忙しかったようだ。
結局
僕とマリとヒカルそしてその日一緒に来ていた男
その4人でカラオケに行く事になった。
男の名前はタツヤ。
30歳独身元バレー部でアタックも上手いイケメンだ。
そしてその相談は
練習後の体育館
ちゆきさんの前で行われた・・・
今年のバレーも今日で一切が終わり
僕は感謝の気持ちを込めて
ちゆきさんに直接一言言いたかった。
帰り際
ちゆきさんが車に乗り込む。
「ちゆきさん!ちょっと待って!」
『なに?あたし娘迎えに行かなきゃないんだけど』
「少しだけ話たいことが・・・」
純粋に「1年間ありがとう」といいたかった。
〔あきくーん あきくんの車で他の人出られないよ~〕
誰かがいった。
「ちゆきさんちょっと待っててね
すぐ来るからさ、ごめん」
僕は急いで車を移動させて
ちゆきさんの元へ向かった。
しかし
そこにあるはずのちゆきさんの車は
もう既になかった。
【えっ?なんで?】
心がざわついた。
僕は心の底から「ありがとう」
を言いたかっただけなのに。
今年最後のバレーだったのに。
それさえもいえない?
すぐに電話をかける。
しかしちゆきさんは電話に出る事はなかった。
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どこへ行くのか?
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本当に行くのか?
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ちゆきさんは『行かない・・・今日は行けない』
そう答えた。
『マリからも私にメールきたけど
あきくん行くんでしょ?
あきくんから誘ったの?』
「いや、マリが行きたいっていうから
行ってもいいかな~って思ったけど。」
『ふ~ん・・・そうなんだ
あたしは行けないけど楽しんできてね』
「ちゆきさん行かないならつまらないんだけどね
約束しちゃったから行ってくるよ。」
その日の最後の練習
Aチームから4人の参加があった。
マリと後3人
その中にヒカルもいた。
僕は自分のチームから今日の打ち上げ?
みたいなものに誘ってみたが
参加者は0だった。
当日の当日だったし年末でみんな忙しかったようだ。
結局
僕とマリとヒカルそしてその日一緒に来ていた男
その4人でカラオケに行く事になった。
男の名前はタツヤ。
30歳独身元バレー部でアタックも上手いイケメンだ。
そしてその相談は
練習後の体育館
ちゆきさんの前で行われた・・・
今年のバレーも今日で一切が終わり
僕は感謝の気持ちを込めて
ちゆきさんに直接一言言いたかった。
帰り際
ちゆきさんが車に乗り込む。
「ちゆきさん!ちょっと待って!」
『なに?あたし娘迎えに行かなきゃないんだけど』
「少しだけ話たいことが・・・」
純粋に「1年間ありがとう」といいたかった。
〔あきくーん あきくんの車で他の人出られないよ~〕
誰かがいった。
「ちゆきさんちょっと待っててね
すぐ来るからさ、ごめん」
僕は急いで車を移動させて
ちゆきさんの元へ向かった。
しかし
そこにあるはずのちゆきさんの車は
もう既になかった。
【えっ?なんで?】
心がざわついた。
僕は心の底から「ありがとう」
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一人帰って布団の中。
僕はメールを打っている。
ちゆきさんに打っている。
【キスは出来ない】
それは今までもずっと言われ続けて来たことだろ?
それでも酔っていない彼女がハグをくれただけだって・・・
十分すぎるじゃないか。
そう思って
僕はまた、自分の心を押し殺して
明るくメールを打った。
今日はごめんね
その言葉は綴ったが
後は明るくメールを打った。
ちゆきさんから返信が来た。
『ごめんね、やっぱりキスだけは出来ないの
でも、このままあたしたちがずっと楽しく
一緒にいられたら、10年後くらいだったら
キス、本当のキスしてもいいかもね。
10年後あたしの事好きなわけないよね。
でもね
今年は無理だったけど、来年は優勝しようね!
あたしたちのチームでさ!
そしたら1日デートしよ♪約束だしね♪』
彼女の無邪気さは時に辛い。
単純にメールをもらえることは嬉しい。
でも、時々僕の胸に突き刺さる事もある。
傷ついた僕の心はどこへ向かうのか?
その日
僕は同時にヒカルにもメールをした。
なんの事はない。
普通のメール
「今日はバレーお疲れ様
また来年もよろしくお願いします。」
みたいなそんな感じのメールだった。
まだこの時は・・・
Aチーム最後の練習の次の日は
僕らのチームの最後の練習だった。
この日
Aチームから僕らのチームに4人練習参加があった。
普段はあまりこないけれど、それなりに交流はあったし、
僕やちゆきさんが通って仲良くなった若手達だった。
その中の一人が僕にこういった。
〔あきくん、今日おわったらうちらと
あと、そっちのチームの誰か誘って
カラオケでもいきませんか?〕
誘ってきたのはAチームの問題児マリだった。
普通に友達として付き合うとそうでもないようだけど
バレーが絡むと問題があるようだった。
マリは32歳既婚
明るいが神経質で意外と細かい事にうるさい性格だった。
個人的には別に嫌いじゃなかったからOKした。
ちゆきさんも誘ってみよう♪
この時はそんな風に気楽に思っていた。
だけどそれは本当にツラク
僕にとっては地獄のような
そんな日々の入り口だった。
全ては僕が蒔いた種ではあったのだけど。
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【キスは出来ない】
それは今までもずっと言われ続けて来たことだろ?
それでも酔っていない彼女がハグをくれただけだって・・・
十分すぎるじゃないか。
そう思って
僕はまた、自分の心を押し殺して
明るくメールを打った。
今日はごめんね
その言葉は綴ったが
後は明るくメールを打った。
ちゆきさんから返信が来た。
『ごめんね、やっぱりキスだけは出来ないの
でも、このままあたしたちがずっと楽しく
一緒にいられたら、10年後くらいだったら
キス、本当のキスしてもいいかもね。
10年後あたしの事好きなわけないよね。
でもね
今年は無理だったけど、来年は優勝しようね!
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そしたら1日デートしよ♪約束だしね♪』
彼女の無邪気さは時に辛い。
単純にメールをもらえることは嬉しい。
でも、時々僕の胸に突き刺さる事もある。
傷ついた僕の心はどこへ向かうのか?
その日
僕は同時にヒカルにもメールをした。
なんの事はない。
普通のメール
「今日はバレーお疲れ様
また来年もよろしくお願いします。」
みたいなそんな感じのメールだった。
まだこの時は・・・
Aチーム最後の練習の次の日は
僕らのチームの最後の練習だった。
この日
Aチームから僕らのチームに4人練習参加があった。
普段はあまりこないけれど、それなりに交流はあったし、
僕やちゆきさんが通って仲良くなった若手達だった。
その中の一人が僕にこういった。
〔あきくん、今日おわったらうちらと
あと、そっちのチームの誰か誘って
カラオケでもいきませんか?〕
誘ってきたのはAチームの問題児マリだった。
普通に友達として付き合うとそうでもないようだけど
バレーが絡むと問題があるようだった。
マリは32歳既婚
明るいが神経質で意外と細かい事にうるさい性格だった。
個人的には別に嫌いじゃなかったからOKした。
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ちゆきさんは僕とヒカルのアドレス交換を笑ってみていた。
Aチームは町のはずれにある。
僕らが住んでいる地域とは少しばかり離れている。
Aチームにちゆきさんも練習参加する時は
二人で車で行くのが常だった。
この日も車で二人で。
「たまにはちゆきさんの車で行きたいな~
いつも飲み会の時は俺ばっか車だしてるし(笑)」
ほんの冗談のつもりだった。
『いいよ、じゃあお迎えにあがりますね。』
とはいっても自宅まではちょっと難しいので
近くの施設の駐車場で待ち合わせて
そこからあいのりしていった。
帰り_
『あきくん、ヒカルとメール交換したんだねー』
「そうですね~何気なく言ったら教えてくれました(笑)」
『あきくんメールまめだもんね。
いろんな人としてるし。』
「そんな事ないですよ~まめなのはちゆきさんにだけ。
いろんな人とだってしてないよ~」
ヒカルともう少し仲良くなりたかったのは否めない。
「それよりちゆきさん・・・今日は少し寄り道できる?」
『今日は無理だよ』
「ちょっとだけ、ね?」
『・・・もう、ちょっとだけね』
この日はいつもの僕の車じゃない。
ちゆきさんの車。
運転席と助手席。
それもいつもと反対。
手を繋ぐ
『あきくん危ないよ・・・』
「だめですか?」
『だめ』
僕らは密会場所へ向かった。
話を少しだけしたら帰らないといけない。
いつものようにいつの間にか1時間2時間なんて出来ない。
キスしたいな_
そう思った。
「キスしたい」
『ダメだよ』
酔ってなくてもキスしたのはつい一週間前のことだった。
「なんで?」
『わかってるでしょ?』
わかるけどわかりたくない。
キスもして深いキスもして
愛撫もして抱きしめて。
僕はちゆきさんの心に入り込んだと思った。
酔ってなくても深いキス。
そう思っていたのは僕だけだったのかな
深いキスには続きがあった。
深いキスだと思っていたキスは
彼女にとってはそうじゃなかったんだ。
『あきくんとしてるのは深いキスじゃない』
そういわれた。
あんなに頭が真っ白になって
舌が絡みあう長いキスが深いキスじゃない?!
『本当のキスは・・・教頭としか出来ないの』
聞きたくない『教頭』という言葉。
深く落ち込まないわけがない。
心臓に何かを突き刺されたような痛みが走った。
今日はハグだけね
そういって彼女は僕を抱きしめてくれた。
同情からだったのかな?
僕はきっとそんな顔をしていたんだと思う。
ちゆきさんはそっと触れるような
軽いキスさえも許してはくれなかった。
ちゆきさんの温もりが
ちゆきさんの匂いが
僕の手に、体に残っている。
さっきまで抱きしめていた
その感触が・・・
僕の心に追い討ちをかける。
でも、いつの日か
彼女から本当のキスを・・・
酔っていないときに奪いたい。
そんな日はきっと来ない。
そう思って僕は
彼女が去った駐車場で
車の中一人
呆然と立ち尽くし泣いてしまった。
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とはいっても自宅まではちょっと難しいので
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「そうですね~何気なく言ったら教えてくれました(笑)」
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深いキスだと思っていたキスは
彼女にとってはそうじゃなかったんだ。
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深く落ち込まないわけがない。
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今日はハグだけね
そういって彼女は僕を抱きしめてくれた。
同情からだったのかな?
僕はきっとそんな顔をしていたんだと思う。
ちゆきさんはそっと触れるような
軽いキスさえも許してはくれなかった。
ちゆきさんの温もりが
ちゆきさんの匂いが
僕の手に、体に残っている。
さっきまで抱きしめていた
その感触が・・・
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でも、いつの日か
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