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ゆっくりと車が停まる。
サイドブレーキの音が響く。
見慣れた彼女のシルエット。
僕は嬉しくてドキドキして涙が出そうだった。
『ごめんね・・・たくさんまったでしょ?』
「ううん、大丈夫!俺のほうこそ待っててごめん。
でも来てくれてホントに嬉しいよ、ありがと♪」
いつでも会ったらスグに抱きしめたい。
でもなんだか出来ない自分がいる。
自信なんてない・・・そう、いつだってそんなものはない。
バレーの愚痴
カラオケでの愚痴
話していたらもう帰る間際になっていた。
いつでも間際になると、
別れ際になると
やっと勇気が出る。
ふとちゆきさんがつぶやく
『あ・・・あきくん見て』
「どうしたの?」
『ホタルがいる、ほらたくさんいるよ』
そこにはホタルが光を放っていた。
『源氏ボタルだね』
「わ~ホントだ、きれい」
なんだか幻想的で
ちゆきさんと二人でホタルを見れた事が
とても嬉しかった。
帰り際
いつもなら車の中から見送る。
彼女の車のライトがついて
そして走り去っていく。
この日僕は
車から降りて彼女を後ろから抱きしめた。
『もう・・・あきくんどうしたの?』
「キスしたくなっちゃって」
『さっきしたでしょ・・・』
それでも何度だってしたい。
もっといえば深いキスをしたかった。
僕らはキスをして
彼女は車に乗り込んだ。
車の窓を開けて、と合図する。
そしてもう一度キスをした。
この日を境に密会の回数が増えたような気がした。
バレーの帰り
カラオケの帰り
飲み会の帰り
それほどまでに会っていてももっと会いたい。
僕はわがままで贅沢になっていた。
ただ会えるだけでも幸せだったはず。
月に一回、二週間に一回でも
二人きりになれれば幸せだったはず。
一週間に、三日に、毎日でも・・・
そんな事は無理だとわかっている。
現実問題、それは僕自身も無理だ。
それでもかなりの頻度で逢瀬を繰り返した。
そして・・・
バレーの大会の日がやってきた。
その日は
僕らにとって運命の日だったのかもしれない
僕と彼女との約束の日でもあった。
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ホタル、とてもキレイでした。
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『ごめんね』
そのメールを恐る恐る開く
開いても見たくない。
夕方の事だった。
そこには今日はやっぱり会えない
と、書いてあった。
その日、とてもとてもいやな事があって
僕と会う気分じゃないと。
それくらいショックな事で気持ちが沈んだんだって。
カラオケは約束してたから行くらしい。
僕とも約束してたんじゃないの?
確実なものじゃなかったけれどさ・・・
当然僕は落ち込んだ。
でもちゆきさんを責めるわけにはいかない。
落ち込んだちゆきさんに僕が詰め寄っても
さらに大変なだけだし。
こういうとき
僕は黙って従うしかないのかな・・・
メールを返す事も出来なかった。
夜
ちゆきさんが言っていたカラオケの時間になった。
諦めきれなかった僕はバスケに行くといって家を出た。
いろんな事を考えた。
メールを直ぐ返して
しかも「会いたい」といえば
ただでさえ落ち込んでいるちゆきさんを苦しめる。
カラオケが始まって
きっと歌って盛り上がりだす
そしてもしかしたらちゆきさんの心も
落ち着いてくるかもしれない
楽しんで、気分も上がってくるかもしれない
そしたら
会ってくれるかもしれない。
僕はメールをつくった
「もし、カラオケ行って少しでも気が晴れて、
会ってもいいなと思ったら連絡ちょうだい。
今じゃなくカラオケ終わる頃でいいから。
俺はバスケ21時半頃終わる予定。
自分勝手だとは思うんだけど、
どうしても会いたいし、会えるって思ってたから…
気分が晴れないなら仕方ないけどさ・・・」
バスケというのはウソだった。
まだメールは送らない
タイミングが大事なんじゃないかな?
って思った。
早すぎたら断られるような
遅すぎても気付いたら家にもどってた、
なんて事になるかもしれない。
とりあえず本屋とかで時間をつぶしたりした。
何冊か本を買った。
まだ2時間以上あった。
待ち合わせの予定場所に
車を停めてそこで待つ事にした。
きっと時間はカラオケ中盤だと思う
そこでさっきのメールを送った。
1時間・・・2時間・・・
本に集中できるわけもなく
ソワソワしながら
携帯を何度も開き、閉じ
ただ僕は待った。
カラオケが終わるであろう時間になった。
ちゆきさんからの返信はない。
不安が心を覆う
それでも僕に出来る事はただ待つ事だけ
迷惑かもしれないけど。
終了時間から30分が経過した・・・
今日はもう無理かな
と、思った。
後30分、待ったら帰ろうと思った。
そして30分後
メールは来ない
諦めて車を出した
そこにメールが来る
ちゆきさんから?!
『今カラオケ終わったよ みんな盛り上がってた』
23時の事だった。
僕はすぐちゆきさんに電話した。
「もしもし・・・おつかれさま
ちょっとは気分晴れた?」
『うん・・ちょっとはね
話結構盛り上がったよ
今日は無理だったねごめんね』
「・・・」
『今どこにいたの?電話してて大丈夫なの?
もう帰ってたんでしょ?』
「メール見てくれました?
迷惑だと思ったんだけど
待ってたんだ・・・ごめんね」
『え?!ずっと待ってたの?
何時間待ってたの?』
「ん・・・9時半くらいからだから
1時間ちょっとだよ」
本当は家を出てから4時間経っていた。
4時間も待っていたと知ったら
ちゆきさんの負担になると思った。
『どこにいるの?』
「この間会った、いつものとこだよ」
『わかった。今行くからまってて』
「え?いいの?」
『うん、すぐ行くから』
「ごめんね・・・待ってて
でも、ありがと」
ちゆきさんは
落ち込んでる様子はなかった
それどころか
待たせてごめんね
とでも言うように・・・『まってて』と。
僕は心が高揚するのを抑えきれなかった。
ちゆきさんは本当にスグに来てくれた。
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もう会えないと思っていた。
でも彼女は会ってくれた。
抱きしめさせてくれた。
キスもした。
なぜ
彼氏がいるちゆきさんが僕と密会を重ねてくれるのか?
いつでもその疑問を心のどこかに持ちながら
それでも何も聞けないまま
ちゆきさんとの日々を重ねていく
もしかしたら・・・
と、思うこともある。色々と
なんの保障もないその希望は
僕の心を支配する事はない。
密会の時
ちゆきさんは優しい
可愛くて素敵で綺麗で
愛おしくさえある
けれど
密会が終わると
彼女自身もなにか思うところがあるのだろう
メールでも電話でも
そして二人きりになる時以外は
なんだか素っ気なくて、冷たくて
その度に僕の心は不安で押しつぶれそうになる。
期待と不安
喜びと悲しみ
安堵と焦燥
そんな浮き沈みを繰り返しながら
ちゆきさんに惹かれ続けてゆく・・・
どっちが本当のちゆきさんなの?
どっちも本当のちゆきさんだと思った。
カラオケに行った4日後
ちゆきさんはまたカラオケに行くらしい。
例の愚痴大会らしい。
しかしその日は女性限定
後で聞いた話だけど3時間のカラオケで
一曲も歌わずに3時間ずっとおしゃべりをしていたらしい。
ずっと愚痴
よくそんなに話す事あるなと思った(笑)
その日がカラオケだと聞いていた僕は
密会の帰り際、ちゆきさんに言った。
「今度の女性カラオケ大会の日、終わってから会えませんか?
今日のちゆきさんのスカート姿がキレイすぎてドキドキして
また会いたくなちゃって。」
『でも、その日あきくんどうやって家出るの?
奥さんに怪しまれちゃうんじゃない?』
「大丈夫です。その日はバスケの練習があるので
その帰りにこの場所で待ってますから」
ウソだった。
バスケの練習などない。
でもきっと、こうでもいわないと
会ってくれない気がした。
わざわざ会いに来る、という事をちゆきさんは嫌う
意味は同じじゃないのかな?
と、思うけれど
彼女にとっては違うようだ。
ちゆきさんは約束は出来ないけど
流れで会えたらね♪といってくれた。
感触は悪くない
会える日が決まっている
こんなに嬉しい事はない。
たった数日間会えないだけ。
しかもその間にはバレーの練習もあって
二人きりじゃないとはいえ会うことはできる。
それでも
僕はその日が待ち遠しくて仕方なかった。
その日までの一日一日が長い。
けれど心地良い苦しさだった。
そして会えるかもしれないカラオケの日が来る。
ちゆきさんからメールが届く
件名に『ごめんね』
と、書いてあった。
僕は嫌な予感を隠しきれないままにメールを開いた・・・
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それだけでもう僕は嬉しくなって・・・
カラオケの時間は残り10分を切っている。
「せっかくちゆきさんが戻ってきたし
一時間延長しますかー!」
僕は張り切って言った。
『今日はもういいよ、中途半端になったから
みんなの顔見に戻ってきただけだし。
また今度こよ』
「そ、そうですか・・・」
僕は楽しい時間が終わるような気がして
少し寂しかった。
最後の10分
少しでも盛り上がろうとみんなで歌った。
ちゆきさんはメールを打っている。
教頭にでも打っているのだろうか?
僕の携帯が鳴った。
ちゆきさんから?!
なんだろ?
『少しでも早く終わった方がその分会えるでしょ』
僕は驚き、目を疑った。
ちゆきさんがそんな事を考えていてくれたなんて・・・
嬉しい。嬉しいけど、顔には出さないようにグッとこらえた。
カラオケが終わり彼女にメールする
「いつもの場所で待ってます」
『今行くね』
それだけでドキドキした。
もう会えないと、
もう、二人きりで会えないと思っていた僕は
ときめきを抑えられずにはいられなかった。
車の中
今日の彼女はとても綺麗だ。
スカートを穿いていたから?
バレーの話
さっきの愚痴の話
学校の話
旅行の話
旅行の時
メールできなかった理由とか
お土産を買うときの苦労話なんかも
この時に聞いた。
たくさん話した。
殆どは聞いていただけだけど、
僕はとても幸せだった。
帰る時間が近づいてくる。
僕はソワソワしだす。
抱きしめたかった。
けど出来ない。
キスしたかった。
でも出来ない。
「ちゆきさん・・・今日はカラオケ誘ってくれてありがと
帰りも会ってくれてありがとね
カラオケでちゆきさんにメール貰った時
マジで嬉しかったよ。
ホントありがとね」
『ううん。今日は付き合ってくれてありがと
愚痴いっぱいで大変だったでしょ?
あたしもたくさん愚痴っちゃったな♪』
「ううん。全然!
たまにはいいんじゃない?愚痴とかもいって
吐き出さないと。色々溜まるからね(笑)」
少しの沈黙があった。
『そろそろ・・・帰らないと』
「う、うん・・・そうだね」
帰したくない。
「ちゆきさん・・・ハグしていい?」
何度このセリフを彼女に投げかけたか?
それでも黙って抱きしめられない臆病者の自分がいる。
いろんな事がありすぎて、自信なんて持てるはずもない。
『ん・・・ちょっとだけだよ?』
そういって彼女は僕に身を委ねてくれた。
その度に思う。
どうして彼女は僕に抱きしめさせてくれるのか?
でもその疑問は未だに投げかけられない。
全てが終わってしまうような気がするから・・・
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第十部 戸惑い
日常が始まった。
僕の日常はちゆきさんのことを考える事だった。
それが日常・・・
いつも彼女のことを考え
メールをしたり、バレーしたり
密会は出来ないままに
でも、どうやったら会えるか?
そんな事ばかり考えていた。
ちゆきさんが旅行から帰ってきてから
また僕は彼女に会いたくて、会いたくて。
でも会えなくて。
そしてある日
彼女から一通のメールが届く
彼女から来るメールは久しぶり
心が踊る♪携帯を開く
こんばんは 突然なんだけど
今日バレーのメンバーでカラオケ行かない?
もし、いいなら連絡ちょうだいね
ちゆきさんからの誘いのメール!
こんな事は最近では記憶にない(笑)
僕の気持ちが伝わってからは初めてだったかもしれない。
一も二もない
僕は速攻でOKの返事をした。
日曜の夕方の事だった。
実は一ヵ月後に大会が控えていた。
そこでチーム内で少し揉めていたんだ。
誰がアタック打つとか誰がセッターやるとか
そんな事。
でも
結構この問題って根深くて
以前からも問題にはなってて。
それが大会前に大きくなって
一部の人が爆発してしまった。
そしてチームに派閥?みたいのができてしまった。
男性はあまり関与しない。
派閥が出来たのは女性チームだった。
正セッター派とサブセッター派
当然不満が出たのはサブの方
ちゆきさんはどちらにつくという訳じゃなかったけれど、
サブのリーダーの人に気に入られてて
(正の人にも気に入られてる)
いつでも愚痴を聞かされていたそうだ。
カラオケは愚痴大会だった。
サブ派の数名とちゆきさんと僕
3時間のカラオケで2時間はしゃべっていたと思う。
ちゆきさんも少なからず正の人に不満はあったようで、
愚痴愚痴グチグチ・・・
僕も相槌を打ちながら話を聞く一方だった。
それでも
ちゆきさんが僕を誘ってくれた事
一緒にいれる事
なんでも話してくれる事
全部嬉しかった
そしてこの日のちゆきさんは
とても綺麗だった。
普段めったに見れないスカートを穿いていた。
ドキドキした
この日
僕はどうしても密会がしたかった。
でもどうするかは彼女次第。
カラオケも終盤
『あたしちょっと用事あるから抜けるね
戻って来れたら戻って来るけど
無理だったら連絡する~』
そういってちゆきさんは行ってしまった。
家の用事があったようだ。
僕はすごくがっかりして
それでもメールを打った。
「ちゆきさん絶対戻って来て下さいね!
待ってるからね!
ちゆきさんに会いたいんだ」
メールが届いたのか
心に響いたのか
彼女はカラオケの終わる10分前に戻って来た。
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